12/4 勉強会

【研究報告】

担当:久保

  • 要旨:三次元動作解析装置と床反力計が組み合わされた実験系を使うことで、運動中の関節モーメントを計算することはさほど難しい課題ではなくなった。しかし関節モーメントは複数の筋の関与の総和であり、治療やトレーニングの観点からその対象となる個々の筋の働きについて知ることはできない。近年、身体運動の数学的シミュレーションをもちいて関節モーメントに対する個々の筋肉の関与を定量的に推定する手法が開発・発表されている。今回は、歩行中のハムストリングスの関与について、シミュレーションソフト(OPEN SIMM)のInduced acceleration Analysisをもちいて検討してみた。EMGの研究により、ハムストリングスは遊脚期後半から立脚期中期付近まで歩行周期の広い範囲で活動していることが報告されている。遊脚期での下肢のOpen Kinematic Chain運動ではハムストリングスは膝屈筋として働くが、踵接地によるClosed Kinematic Chainでの運動様式への転換以降は、単関節筋は膝屈筋として寄与する一方、二関節筋である大腿二頭筋長頭は膝伸展筋としての寄与を示した。加齢や傷害によるハムストリングスの弱化は、加齢による歩行様式の変化やアスリートのパフォーマンス回復阻害因子として考えらるのではないだろうか。