6/25 勉強会

【研究報告】

担当:下門

タイトル:ヒトの水中ドルフィンキック泳における足関節柔軟性の影響

  • 目的:競泳において最速といわれる水中ドルフィンキック泳では、足関節の柔軟性が泳速度に影響すると信じられているが報告はほとんどない。また泳速度の増減は水に対して運動量が生じており、流れ場を可視化しなければならない。
  • 目的:テーピングによる足関節底屈角度制限によるヒトの水中ドルフィンキック泳への泳速度(実験1)、三次元の下肢動作(実験2)、泳者後流の流れ場(実験3)を調査する。
  • 方法:実験1~3では、泳者の足関節にテーピングを行い、底屈角度制限をかけた状態で水中ドルフィンキック泳を行った。二次元動作分析(実験1)と三次元動作分析(実験2)を実施し、さらに1名の泳者を対象に粒子画像計測法(Particle Image Velocimetry method: PIV法)を用いて泳者後流の流れ場を可視化した。
  • 結果:通常時に比べ、テーピングすることで泳速度は減少した。一方、陸上で足関節底屈角度が制限されたにも関わらず、泳中は底屈角度に変化は認められなかった。また、テーピングによって前足部の回内角度が減少しており、泳者後流の流れ方向の変化が観察された。
  • 結論:足関節の柔軟性、さらに前足部の柔軟性を向上させると、水中ドルフィンキック動作による流れ方向を変え、泳速度も増大できる。

 

【文献抄読】

担当:徳永

タイトル:Biomechanical mechanism of lateral trunk lean gait for knee osteoarthritis patients.

出典:Tokuda et al. J Biomech. 2018;66(4):10-17.

  • 目的:1) 体幹側屈歩行で外的膝関節内反モーメント(KAM)が減少するメカニズムを解明すること,2) Uncontrolled Manifold(UCM)解析により「協調性」を定量化し,体幹側屈歩行の難易度を評価すること.
  • 方法:20名の変形性膝関節症患者を対象とし,通常歩行条件と体幹側屈歩行条件の2つの条件で歩行動作を実施した.なお,体幹側屈歩行条件では通常歩行条件よりも10度体幹側屈位となるようにリアルタイムフィードバックを実施した.計測データより,歩行動作時のKAMとKAM関連パラメータである前額面における膝関節から床反力作用線までのレバーアームと歩隔を算出した.また,UCM解析により協調性の指標であるΔVzを算出した.
  • 結果:通常歩行条件に比較して体幹側屈歩行条件ではKAMは有意に低値を示した.また,体幹側屈歩行条件では膝関節から床反力作用線までのレバーアームが有意に低下し,歩隔は有意に増加していた.これは,歩隔が広がったことにより膝関節とCOPとの相対距離が近くなり,結果として膝関節から床反力作用線までのレバーアームが小さくなったことを意味している.また,協調性の指標であるΔVzは両条件間において有意な差を認めなかった.
  • 結論:体幹側屈歩行はKAMを軽減させることができる歩行様式であり,協調性の観点からは通常歩行と比較して難しい歩行様式ではないことが明らかとなった.