7/2 勉強会

【研究報告】

担当:小島

タイトル:機械的触圧覚刺激による介入効果の検討

  • 目的:本研究の目的は,一定時間の機械的触圧覚刺激介入が①皮質脊髄路興奮性,②運動機能,③一体性感覚野興奮性に及ぼす影響を明らかにすることとした.
  • 方法:機械的触圧覚刺激による介入は,ピエゾ型触圧覚刺激装置(点字様ピン24本)を用いて行った.介入条件は,単純刺激介入(刺激面全体を同時に刺激する条件)および複雑刺激介入(刺激面内を突出する刺激ピン列が左から右に順序良く移動する条件)とし,20分間の介入を右示指の指腹を対象に実施した.各指標は,①経頭蓋磁気刺激後の運動誘発電位,②grooved peg board課題の遂行時間,③脳磁図によって記録された体性感覚誘発磁界とし,介入前後で記録を行った.
  • 結果:単純刺激介入において,皮質脊髄路興奮性の減弱および一次体性感覚野の興奮性増大が認められた.一方,複雑刺激介入では,皮質脊髄路興奮性の増大および一次体性感覚野の興奮性減弱が認められ,さらに運動機能の向上も認められた.
  • 結論:一定時間の機械的触圧覚刺激は皮質興奮性に影響を与えることが明らかとなり,その介入効果は,刺激パターンに依存することが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:横田

タイトル:Effects of Transcranial Direct Current Stimulation, Transcranial Pulsed Current Stimulation, and Their Combination on Brain Oscillations in Patients with Chronic Visceral Pain: A Pilot Crossover Randomized Controlled Study.

出典:Thibaut A. et al. Front Neurol. 2017 Nov 1;8:576. doi: 10.3389/fneur.2017.00576. eCollection 2017.

  • 目的:効果的な治療法がいまだ確立されていない慢性内臓痛に対して,2種類の異なる経頭蓋電気刺激Transcranial Electrical Stimulation: tESによる刺激介入を行い,Electroencepharography: EEG(脳波計)を用いて皮質の律動性の変化,疼痛の変化を検討する.
  • 方法: 慢性内臓痛を有する6名の被験者に対して,transcranial pulsed current stimulation (tPCS)のみと,transcranial direct current stimulation (tDCS)のみ,両者を同時に用いた場合での疼痛の変化と,EEGを用いて皮質の律動性変化を介入前後で比較した.安静時での律動性は47名の健常者と比較した
  • 結果: 健常者との比較において,慢性内臓痛患者は安静時に有意に高いtheta, alpha, beta帯域での律動性を示し,alpha/beta ratioの有意な減少が認められた.tES後に疼痛の変化は認められなかったが,tPCSのみで刺激後に,theta, alphaパワーの有意な増大が認められ,tPCS, tDCSのコンビネーションと,tDCSのみで刺激を行った際には,全ての周波数帯域で変化は認められなかった.
  • 結論: 慢性内臓痛患者は健常者と比較して,EEGにおいて安静時に異常な皮質の律動性を示す.また,慢性内臓痛患者において,経頭蓋電気刺激方法の違いにより,皮質の律動性は異なる変化を示すことが明らかになった.