9/3 勉強会

【研究報告】

担当:高林

タイトル:膝関節角度とモーメントの変化が膝蓋大腿関節ストレスに及ぼす影響―Computer Simulation Study―

  • 目的:Simulationにより膝関節角度とモーメントを変化させ, 膝蓋大腿関節の圧迫力(PFCF)とストレス(PFS)が増大する条件を検証することとした.
  • 方法:本研究は膝関節角度と膝関節モーメントを独立変数,PFCFとPFSを従属変数としたシミュレーションを実施した.先行研究で報告されているランニング時の膝関節角度と関節モーメントを基に,角度は10-40度,モーメントは0-150Nm(全4681通り)でシミュレーション条件を規定し,PFCFとPFSを計算した.計算手順として,多項式を用いて膝関節角度から大腿四頭筋のレバーアームを計算する.つぎにレバーアームと膝関節モーメントから大腿四頭筋張力を求め,大腿四頭筋張力からPFCF(N)を計算する.最終的に,膝関節角度から膝蓋骨と大腿骨の接触面積を求め,PFS(N/mm2)を計算した.本研究の解析はScilab-6.0.0でプログラミング処理した.
  • 結果:膝関節伸展モーメントが減少するほどPFCFとPFSは減少することが明らかになった.一方,膝関節屈曲角度が減少するほどPFCFは減少したが,PFSは膝屈曲角度が約30度で最も減少することも明らかになった.
  • 結論:本研究結果は膝蓋大腿関節痛に対する効果的な治療介入,さらにはランニングの動作指導を行ううえで役立つ基礎的知見になり得る.

 

【文献抄読】

担当:マイン

タイトル:Cerebellar Transcranial Direct Current Stimulation Modulates Corticospinal Excitability During Motor Training.

出典:Summers et al. Front Hum Neurosci. 2018;12:118.

  • 目的:運動訓練とctDCSを組み合わせた後の, 皮質脊髄路および皮質内の興奮性がどのように変化するかを検証した.
  • 方法:健常者 14人を対象に, 刺激部位はAnodal: 両側の小脳半球の中間, Cathodal: 頬筋; 刺激強度: 2 mA; 刺激時間: 30 min (Sham: 30 s); 電極のサイズ: Anodal: 7 × 10 cm, Cathodal: 5 × 7 cm. 刺激しながら運動課題を行って前後にMEP, SICI, CSP, AIを計測した.
  • 結果:Sham ctDCS+運動練習後に皮質脊髄路の興奮性が増大した. Anodal ctDCS+運動練習後に皮質脊髄路の興奮性が減少した.
  • 結論:学習中のctDCSは, 皮質脊髄性興奮性を調節することができるがパフォーマンスに影響しない.