9/10 勉強会

【研究報告】

担当:玉越

タイトル:脳出血早期リハビリテーションの効果に関する研究

  • 目的:脳出血モデルラットを用いて早期運動介入が感覚運動野に与える影響について検証した。
  • 方法:実験動物にはWistar系雄性ラットを用いた。対象を無作為に偽手術群(SHAM群)、脳出血+非運動群(ICH+Cont群)、脳出血+早期トレッドミル群(ICH+ET群)、脳出血+後期トレッドミル群(ICH+LT群)の4群に分けた。脳出血モデルは、左線条体にコラゲナーゼ・Type IVを一定流速で注入して作製した。トレッドミル走行条件は、11m/minの速度で60分間とし、ICH+ET群は術後2日目から8日目まで、ICH+LT群は術後9日目から15日目まで実施した。運動機能評価価を術前、術後1日目、8日目、15日目に行った。脳出血後16日目に脳組織を採取し、ニッスル染色を用いて損傷体積、大脳皮質の厚さ、神経細胞数を解析した。また、Golgi-Cox染色を用いて、樹状突起の長さおよび複雑性を解析した。さらに、リアルタイムPCR法を用いてIL-1b、 IGF-b1、 IGF-1のmRNA発現量を解析した。
  • 結果:ICH+ET群はICH+Cont群とICH+LT群より有意な機能改善を示した。損傷体積は、ICH+Cont群、ICH+ET群、ICH+LT群の間に有意差はなかった。ICH+ET群の大脳皮質の厚さおよび神経細胞数は、ICH+Cont群およびICH+LT群と比較して有意に高値を示した。 樹状突起の長さと複雑性において、ICH+ET群はICH+Cont群およびICH+LT群と比較して有意に増加した。 ICH+ET群のIL-1b mRNA発現量がICH+Cont群と比較して有意に低値を示した。
  • 考察:脳出血後早期の運動介入は後期介入より機能改善効果が高いことが分かった。早期介入には損傷体積の拡大を軽減させる効果はなかったが、感覚運動野における皮質の萎縮抑制効果を認めた。神経細胞の組織学的解析から、早期介入には、感覚運動野の神経細胞死や樹状突起の退縮を抑制する効果があることが分かった。さらに、遺伝子解析の結果から、炎症促進因子の抑制が関与していることが分かった。

 

タイトル:脳出血超早期リハビリテーションの効果に関する研究

  • 目的:脳出血モデルラットを用いて超早期リハビリテーションが運動機能障害および組織傷害に与える影響について検証した。
  • 方法:左線条体にコラゲナーゼを微量注入して脳出血モデルラットを作製し,偽手術+非運動群、脳出血+非運動群、脳出血+超早期介入群を実験群として設けた。超早期介入群は術直後(24時間以内)からトレッドミル走行を7日間実施した.術後1日目における血腫体積,脳浮腫の解析を行った.また,術後6時間後,術後1日目,術後8日目におけるIL-1b, TGF-b1, IGF-1のmRNA発現量を解析した.
  • 結果:血腫体積,脳浮腫は,ICH群とICH+VET群に有意差はなかった.術後6時間後にいて,ICH群のIL-1βが有意に高値を示した.術後1日目・8日目においてICH+VET群のIL-1βがSHAM群より有意に高値を示した.
  • 考察:超早期介入は,血腫体積,脳浮腫に影響は及ぼさないが,大脳皮質感覚運動野で炎症促進因子の減少を抑制することが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:山﨑

タイトル:Physical activity modulates corticospinal excitability of the lower limb in young and old adults

出典:Hassanlouei et al. J Appl Physiol. 2017; 123: 364-374

  • 目的:年齢、性別、身体活動量が下肢皮質脊髄路興奮性に与える影響を明らかにすること.
  • 方法:若年者28名(女性14名)と高齢者50名(女性22名)を対象とし、経頭蓋磁気刺激を用いて膝伸展随意収縮中のrecruitment-curveを計測した.身体活動量は事前に加速度計を用いて計測し、1日1万歩以上の被験者をHigh PA群、1万歩未満の被験者をLow PA群とした.記録したMEPはMmaxとの比で算出し、最大MEP(%Mmax)とrecruitment curveの傾き(slope max)を年齢、性別、身体活動量で比較した.
  • 結果: Low PA群と比較してHigh PA群ではSlope maxが有意に低値を示した.一方で、年齢、性別で比較するとMEP(%Mmax)、slope maxいずれも差はなかった.
  • 結論:年齢、性別問わず、日常的な身体活動の実施は収縮時の下肢皮質脊髄路興奮性を変調させる.