9/5 勉強会

研究報告

担当:鈴木(自著論文の報告)

論文:” Predicting Recovery of Bilateral Upper Extremity Muscle Strength after Stroke”
Suzuki M et al., J Rehabil Med 43:935-943, 2011.

  • 目的;脳血管障害に起因する主要な機能障害は,病巣と反対側の筋力低下であるが,病巣と同側の筋力も低下する
    ことが知られている.本研究では,片麻痺患者の両側上肢筋力および日常生活動作障害の予後を予測することを目的とした.
  • 方法;対象者の回復に応じて予測が可能であること,計算が容易で臨床に適用可能であることを考慮し,予後予測には対数
    モデルを用いた.
  • 結果;ベースラインと1週後の筋力およびFunctional Independence Measure(FIM)の運動項目得点を基にした対数
    モデルによって2週後および3週後の筋力およびFIM得点を予測し得ると考えられた.
  • 考察;今回用いた対数モデルは計算が容易で臨床に広く適用できる反面,予測値が対象者の行動に強く影響される.
    今後は,今回用いた行動的評価に基づく予後予測に画像所見や電気生理学的所見を併せ,さらに正確で長期的な予後予測
    の方法について検討する必要があると思われる.

 

文献抄読

担当:桐本

論文:”Movement intention after parietal cortex stimulation in humans”
Desmurget M et al., Science 324:811-813, 2009.

要旨:

  • 目的;頭頂葉と運動前野は,運動の意思を喚起し,運動が起きたことを自覚するために重要な役割を果たす領域である.
  • 方法;覚醒下での脳外科手術中に,7人の患者に対して電気刺激を行った.
  • 結果;右の下頭頂葉刺激時には,対側の手,上肢,下肢を動かしたいという強い欲求を引き起こした.一方,左の下頭
    頂葉刺激時には口を動かしたい,話したいという意思を喚起した.刺激強度を上げると被験者らは,これらの運動を実
    際に行ったと信じて疑わなかったが,この時に筋電図上の放電活動は検出されなかった.運動前野に対する刺激時には,
    口や対側四肢に明白な運動が生じた.しかし被験者らはこのことを強く否定した.
  • 考察;意識に上る運動の意思と運動が起きたことの自覚は,運動実行前の頭頂葉領域の興奮性上昇によって生じるのかも知れない.