11/12 勉強会

【研究報告】

担当:平林

タイトル:同時収縮中の前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動比に脊髄相反性抑制が影響

  • 目的:前脛骨筋とヒラメ筋の同時収縮中の収縮強度変化がIa相反抑制,D1抑制に及ぼす影響を明らかにすること
  • 方法:健常成人20名を対象に,同時収縮中に脊髄相反性抑制(Ia相反抑制,D1抑制)を計測した.同時収縮課題(Sol vs TA)は5課題,A:0%MVC vs 0%MVC,B:5%MVC vs 5%MVC,C:15%MVC vs 15%MVC,D:5%MVC vs 15%MVC,E:15%MVC vs 5%MVCとした.
  • 結果:Ia相反抑制は同時収縮課題A,B,C,Dで抑制量が有意に増加した.D1抑制はすべての課題で抑制量が有意に増加した.
  • 結論:Ia相反抑制はSol / TA raitioに依存してTAの筋活動比が同等かそれ以上であれば抑制の存在を認める.D1抑制は,すべての課題で抑制が残存していたことから,Ia相反抑制とは別回路であり,長潜時抑制でもあることから,他の抑制促通作用が働いている可能性が示唆された.

 

【文献抄読】

担当:菊元

タイトル:Injury risk-workload associations in NCAA American college football.

出典:Sampson et al. J Sci Med Sport. 2018. pii: S1440-2440(18)30176-2.

  • 背景:加速度計を用い仕事量を定量的に評価する手法は,NCAAフットボール界でも有用視されているが,外傷との因果関係を示した研究は一編しか認められない.過去10年間の統計によると,年間で0.036 Athlete Exposuresの外傷が発生し,その内の25%は非接触型損傷である.その主要因のひとつと考えられている仕事量を,急性期間と慢性期間に分けて算出し,その比率(ACWR)や指数関数的体重比活動平均値(EWMA) に着目した評価が注目されている.
  • 目的:NCAA大学生フットボール選手における,加速度計を用いた仕事量と外傷発生率の相関を検証する.
  • 方法:NCAA DivisionⅠ-A所属に所属する52名フットボール選手(27名のOF選手,25名のDF選手,年齢:20.7±1.5歳, 体重:103.0±20.0kg, 身長:187.6cm±8.4cm)を対象に,加速度計を着用して競技中における仕事量を算出し,外傷発生との相関関係を検証した.仕事量の計測は,1シーズン中の練習・試合時において毎回行い,急性期間(7日間)と慢性期間(14日間・21日間・28日間)との比率を算出した.
  • 結果:7日間と21日間の仕事量において,急性期間(7日間)が慢性期間(21日間)の1.3倍以上になった際,有意に外傷発生率が高値を示した.また発生時期としては,プレシーズン(シーズン開始3週間前)とシーズン終盤(シーズン終了3週間前)に有意に高値を示した.
  • 結論:シーズン中において,仕事量の急激な増加が外傷発生率を高値にさせる可能性が示唆された.また発生時期から,過度な仕事量はもちろん,不動時から仕事量を増加させる際にも外傷発生率が高値となるため,仕事量の調整が必要である可能性が示唆された.
  • 自身の研究との関連:仕事量とACL損傷との相関関係を探り,過度な仕事量が大きな損傷危険因子となっているか否かを検証したい.