5/13 勉強会

【研究報告】

担当:小島(翔)

タイトル:動的全身振動刺激運動による脳酸素化応答,呼吸・循環応答と認知機能への影響

  • 背景: 重症疾患患者や低活動高齢者に対して安全に身体機能やバランス機能を改善できる方法として全身振動刺激(WBV)が注目されている.近年,WBVを関節運動が伴わない静的なスクワット中に加えることで前頭前野の酸素化ヘモグロビン(O2Hb)が増加することが示された.前頭前野のO2Hbの増加は認知機能の向上に関与すると報告されている.そのため,スクワット運動にWBVを加えることで認知機能が向上できる可能性がある.しかし,スクワット運動とWBVの組み合わせが認知機能に与える影響は不明であり,動作が伴う動的なスクワット運動中の前頭前野のO2Hb変化も不明である.
  • 目的:本研究の目的は,動的スクワット運動とWBVの組み合わせが,前頭前野のO2Hbを増加させ,認知機能の向上を引き起こすかを明らかにすることである.
  • 方法:対象は新潟医療福祉大学に所属する学部生,大学院生18名とする.実験条件は動的スクワット運動中にWBVを加える条件(WBV条件)と動的スクワット運動のみを行う条件(Control条件)の2条件とし,3日以上の間隔をあけ,ランダムな順序で実施する.WBVの振動周波数は27Hz,振動振幅は4mmとする.実験は運動前認知課題,運動前安静5分,各条件の運動セッション,運動直後認知課題,運動後安静10分後認知課題の順で行う.運動セッションは,動的スクワット運動30秒と休憩30秒を1セットとし,5セット繰り返して行う.運動前認知課題から運動後安静10分後認知課題終了までの期間に脳酸素化応答を計測する.また呼吸・循環応答はO2Hbの計測結果に影響を与えることからこれらの指標も同時に測定する.脳酸素化応答は前頭前野のO2Hbを計測する.呼吸応答は酸素摂取量,二酸化炭素排出量,呼気終末二酸化炭素濃度を計測する.循環応答は心拍出量,心拍数,平均血圧を計測する.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Priming With Intermittent Theta Burst Transcranial Magnetic Stimulation Promotes Spinal Plasticity Induced by Peripheral Patterned Electrical Stimulation

出典:Yamaguchi et al. Front Neurosci. 2018; 12: 508.

  • 目的:PESと運動皮質興奮性を増大させるiTBSの組み合わせが相反性抑制(RI)に及ぼす影響と経時的変化の検討
  • 方法:健常成人10名を対象に,PESの前後どちらかにiTBSを刺激,PESのみの群に分けて,RIを課題前,直後,15,30,45分後に計測した.
  • 結果:PESの前にiTBSを事前刺激することでRIが増強し継続時間も延長した.
  • 結論:PESの前に一次運動野をiTBSによって賦活させることで,PESの効果を増強し,RIを増強する結果となった.