5/20 勉強会

【研究報告】

担当:小島(翔)

タイトル:機械的触覚刺激による介入が体性感覚野興奮性に及ぼす影響

  • 目的:本研究の目的は機械的触覚刺激による介入が体性感覚野興奮性に及ぼす影響を明らかにすることとした.
  • 方法:機械的触覚刺激による介入は,ピエゾ型触圧覚刺激装置(点字様ピン24本)を用いて行った.介入条件は,単純刺激介入(刺激面全体を同時に刺激する条件)および複雑刺激介入(刺激面内を突出する刺激ピン列が左から右に順序良く移動する条件)とし,20分間の介入を右示指の指腹を対象に実施した.体性感覚野の興奮性は脳磁図を用いて計測をし,安静時脳活動の周波数変化および体性感覚誘発磁界を介入前後に計測した.
  • 結果:単純刺激介入では,体性感覚誘発磁界のP50m振幅値が有意に減弱し,複雑触覚刺激介入ではP50m振幅値の有意な増大が認められた.また,単純刺激介入のP50mの変動は介入前のP50m振幅値に依存し,複雑刺激介入のP50mの変動は,安静時のβ帯域の周波数変化に依存することが確認された.
  • 結論:体性感覚野の興奮性は触覚刺激の刺激パターンに依存して変動することが明らかとなり,その変動は各刺激パターンで異なるメカニズムが関与している可能性が示された.

 

【文献抄読】

担当:齊藤

タイトル:Anodal transcranial direct current stimulation over the posterior parietal cortex reduces the onset time to the rubber hand illusion and increases the body ownership

出典:Lira et al. Exp Brain Res. 2018;236: 2935-2943

  • 目的:後頭頂葉(PPC)および腹側運動前野(PMv)に対する経頭蓋直流電気刺激(tDCS)がラバーハンドイリュージョンにもたらす影響を検討することである.
  • 方法:右利き健常成人140名を対象とし,右PPCおよび右PMvに対してtDCS(陽極,陰極,sham)を5分間与えたときのラバーハンドイリュージョンが生じるまでの時間とProprioceptive drift,RHI審問票を用いた身体所有感を計測した.
  • 結果:右PPCに対して陽極tDCSを与えることで,ラバーハンドイリュージョンが生じるまでの時間が短縮し,身体所有感が増大した.
  • 結論:PPCがラバーハンドイリュージョンに関わる視覚と体性感覚の統合処理に重要な役割を担っている可能性が示唆された.