6/17 勉強会

【研究報告】

担当:金子

タイトル:第5中足骨近位部に付着する組織の付着領域・付着面積の検討

  • 背景:第5中足骨近位部(Zone2)骨折は同等の重症度でも治癒期間に個人差が存在する.この原因として,第5中足骨に付着する短腓骨筋・第3腓骨筋・足底腱膜外側索・長足底靱帯の牽引力が骨の修復を阻害すると考えられている.さらに,付着部がZone2より近位にある場合,組織の牽引力は骨折線を有意に離開させている.そのため, Zone2に対する付着部位を理解することは治癒期間の個人差を解明するために重要である.しかし,Zoneに基づいて付着部を検討した報告は十分に検討されていない.そこで本研究は,第5中足骨に付着する短腓骨筋・第3腓骨筋・足底腱膜外側索・長足底靱帯がZone2に対してどこに付着するかをType分類し,その分類に基づき各組織の付着面積を検証することを目的とする.
  • 目的:①第5中足骨に付着する短腓骨筋・第3腓骨筋・足底腱膜外側索・長足底靱帯の付着部をZone2に対してどこに付着するかでType分類すること.②各組織のType分類に基づいて付着面積を算出すること.
  • 方法:対象は固定遺体50体100側とした.付着部は,Zone2への付着関係を基にType分類をした.面積は,付着部の周径を三次元デジタイズし,Typeごとに算出した.統計的検討について,各Typeの存在率はχ2検定,ライアンの名義水準を用いた多重比較検定を使用した.面積は,2標本のt検定,マンホイットニーU検定を使用した.有意水準は5%とした.(現在計測中)

 

【文献抄読】

担当:正木

タイトル:Use of shear wave ultrasound elastography to quantify muscle properties in cerebral palsy

出典:Lee et al. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2016; 31: 20-28.

  • 目的:本研究の目的は,痙直型片麻痺児を対象として,超音波画像診断装置のせん断波エラストグラフィーにて評価した筋硬度を反映する,せん断速度を非麻痺側,麻痺側間で比較することとした.また,せん断速度と足関節のトルク,関節可動域,筋束の伸張との関連を検討することとした.
  • 方法:対象は痙直型片麻痺児8名とした.超音波画像診断装置のせん断波エラストグラフィーを用いて,腓腹筋,前脛骨筋のせん断速度を非麻痺側,麻痺側にて測定した.また,足関節のトルク,関節可動域,筋束の伸張も合わせて測定した.
  • 結果:足関節中間位での腓腹筋,腓骨筋のせん断速度は,非麻痺側よりも麻痺側の方が有意に早かった.非麻痺側,麻痺側における腓腹筋,前脛骨筋のせん断速度は足関節のトルク,関節可動域,筋束の伸張と有意に関連していた.
  • 結論:痙直型片麻痺児において,超音波画像診断装置のせん断波エラストグラフィーにて評価したせん断速度には足関節のトルク,関節可動域,筋束の伸張が関連していることが明らかとなった.