6/24 勉強会

【研究報告】

担当:池津

タイトル:肘尺側側副靭帯および屈曲回内筋群共同腱の形態の違いが肘安定性に与える影響
~遺体を用いた解剖学的研究とシミュレーション研究~

  • 背景・目的:肘尺側側副靭帯(UCL)は,前斜走線維(AOL),後斜走線維(POL),横走線維から構成され,肘外反安定化に重要である.AOLとPOLの制動機能に関しては,肘屈曲位や伸展位で制動するという報告や,全可動域を制動するなど異なる見解が報告されている.この原因として,UCLや屈曲回内筋群共同腱を含めた肘内側の解剖学的特徴が十分に検証されていないこと,解剖学的特徴をベースとした生体力学研究が実施されていないことが問題点として考えられる.そこで,本研究は①AOL,POL,共同腱の形態学的特徴を明らかにすること,②シミュレーションを用いて,肘屈伸運動中におけるAOL,POL,共同腱のstrainをType毎に明らかにすること,③AOL,POL,共同腱の形態の違いと肘制動機能との関係を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:解剖学的研究では,固定遺体55肘を対象とする.AOL,POL,共同腱のType分類は,周辺組織との位置関係に着目して行う.形態学的特徴は,長さ,幅,厚さ,骨付着面積を計測する.シミュレーション研究では,AOL,POL,共同腱の各Type 1肘を対象とする.肘屈伸運動中におけるstrainは,AOL,POLは3本の線維束,共同腱は前方共同腱と後方共同腱に分割して計測する.(現在計測中)

 

【文献抄読】

担当:高林

タイトル:Comprehensive biomechanical characterization of feet in USMA cadets: Comparison across race, gender, arch flexibility, and foot types.

出典:Song et al. Gait Posture 2018;60:175-180.

  • 目的:本研究はアメリカの陸軍士官候補生(USMA)を対象に人種や性別によって足の構造や機能が異なるかを検証した.
  • 方法:対象は1090の候補生(女性16.3%)とした.12のステーションに各2名評価者を配備し,foot postureの指標としてMVI(後足部回内の指標),AHI(扁平足の指標)を測定した.また,foot functionの指標として,CPEI(歩行時の足圧データ),AHF(flexibilityの指標)を測定した.
  • 結果:黒人は他の人種(白人,アジア,ヒスパニック)と比較して,AHIが有意に低く,MVIが有意に高い値を示した(扁平足傾向)また,黒人の扁平足の有病率は91.7%あった.一方,アジア人は他の人種(白人,黒人,ヒスパニック)と比較してAHFが有意に高く,CPEFが有意に低い値を示した(flexibleな足部).
  • 結論:人種により足部の構造や機能は異なっていた.今後,足の構造と機能の違いが障害に関与するかをさらに検証する必要性がある.