脳への交流電気刺激によって、どちらの手が先に触られたかという判別能力が向上!

★大鶴直史准教授(理学療法学科、神経生理Lab、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌に掲載されました!

 

『脳への交流電気刺激によって、どちらの手が先に触られたかという判別能力が向上!』

 

研究の概要

わずかな時間差をもって左右の手に触覚刺激を与えた時に、どちらが先に刺激されたかを判別(時間順序判別)する能力は、脳卒中や慢性疼痛の患者さんにおいて変容することが知られています。しかしながら、脳のどのような活動が判別に関与しているかは明らかではありませんでした。そこで、脳の活動を変化させることができる経頭蓋交流電気刺激(tACS)を使って検討を行いました。結果、10 HzのtACSによって後部頭頂皮質(PPC)を刺激すると、判別が向上することが分かりました。本研究成果は、国際誌『Behavioural Brain Research』に掲載予定です。

 

研究者からのコメント

本研究は、両手からの触覚の入力を統合して判別するという複雑な処理を必要とする課題に対し、人為的な介入(tACS)を行うことで判別能力が向上することを明らかにしました。この結果は、脳卒中や慢性疼痛を有する患者さんに対する新たな介入手段となる可能性を秘めています。

 

本研究成果のポイント;箇条書き+図(わかりやすいもの)

・10 HzのtACSを用いて後部頭頂皮質(PPC)を刺激した際には、左右どちらの半球を刺激しても、触覚の時間順序判別が向上することを明らかにした点(図1)

 

図1.時間順序判別能力は、偽刺激(刺激したように見せかけている条件)と比べて、左右どちらのPPCを刺激しても向上する。

 

原論文情報;著者名、論文タイトル、雑誌名、巻号、ページ、西暦年、doi

Otsuru N, Kamijo K, Otsuki T, Kojima S, Miyaguchi S, Saito K, Inukai Y, Onishi H. 10-Hz transcranial alternating current stimulation over posterior parietal cortex facilitates tactile temporal order judgment. Behavioural Brain Research, 2019.