8/26 勉強会

【研究報告】

担当:横田

タイトル:左後頭頂皮質,一次体性感覚野に対する10Hz 経頭蓋交流電流刺激(tACS)が二点識別覚閾値に及ぼす影響の解明

  • 目的:高次の空間識別能に関与するとされる左後頭頂皮質,および一次体性感覚野に対するα帯域(10Hz)のtACS付与が二点識別覚閾値に与える影響を明らかにすることとした.
  • 方法:対象は健常成人25名であった.刺激条件は,二点識別覚測定中にα帯域である10HzのtACSを①左後頭頂皮質および②一次体性感覚野に付与し,③疑似刺激条件と比較した.二点識別覚閾値測定にはPC制御による二点式触覚刺激装置(特注)を用い,我々の先行兼研究より得られた至適な刺激強度(刺激速度10.0 mm/s,刺激深達度1.0 mm)を用い,0.5 mm~5.0 mmの10条件の2点刺激と1点刺激に対し,1点か2点を回答させることで測定した.各二点間距離に対する正答率をプロットしロジスティック回帰分析を行い,得られた心理物理曲線から50%閾値を算出た.また,同様に算出した75%閾値と25%閾値の差から弁別感度を求めた.
  • 結果:左後頭頂皮質に対するtACSは,疑似刺激条件と比べて有意な二点識別覚閾値の低下を認めたが(p<0.05),一次体性感覚野に対するtACSは,疑似刺激条件と有意な差は認められなかった.
  • 結論:二点識別覚の認知段階における責任領域とされる左後頭頂皮質に対するα帯域tACSは二点識別覚閾値を低下させた.二点識別覚閾値の決定には,一次体性感覚野の活動よりも,より高次な左後頭頂皮質の活動が重要であることが示唆された.

 

【文献抄読】

担当:長坂

タイトル:An Essential Role of the Intraparietal Sulcus in Response Inhibition Predicted by Parcellation-Based Network

出典:Osada et al. Journal of Neuroscience 2019, 39(13): 2509-2521

  • 目的:反応抑制に関与する頭頂葉領域をParcellation-Based Network解析を用いて明らかにする
  • 方法:反応抑制課題を実施し、課題中の脳活動を機能的磁気共鳴画像法を用いて計測した。また個々の安静時脳血流動態パターンから脳の領野を細分化し、それらを関心領域とした結合相関解析を行った。また、頭頂葉領域に経頭蓋磁気刺激を用いて反応抑制課題への影響をみた。
  • 結果:頭頂葉の頭頂間溝において反応抑制課題に関連する活動が確認された。また、この領域の磁気刺激によって反応抑制が減弱した。
  • 結論:頭頂間溝は反応抑制に重要な領域であることが示唆された。