9/2 勉強会

【研究報告】

担当:高橋

タイトル:2型糖尿病の骨脆弱性に対する長期トレッドミル運動の効果~肥満型2型糖尿病モデルラットを用いた検証~

  • 目的:肥満型自然発症2型糖尿病モデルラット(SDT-Fatty)を対象に24週間の長期トレッドミル運動を実施し,血糖値ならびに下肢骨の骨強度・骨質・骨構造について検証.
  • 方法:SDラットSDT-Fattyラットを5週齢時にCont群,SDT-sedentary群,SDT-Ex群に振り分けた(各n=6).SDT-Ex群は,24週間のトレッドミル走行(9m/min, 30min/day, 5days/week)を実施しサンプリングを行った.測定項目は,血糖値,HbA1c,骨破断試験,µ-CTによる骨微細構造,EPMAによる元素マッピング,H-E染色(吉木法)を実施した.
  • 結果:血糖値およびHbA1cは,Cont群と比較し両群とも有意に高値を示した.破断強度は,Cont群と比較し両軍とも低値を示した.皮質骨BMDは全群間に有意差は認めなかったが,体積・厚み・断面2次モーメントがCont群と比較し両群ともに低値を示した.皮質骨の元素マッピング(Ca,P,Mg)では,Cont群と比較しSDT-Sedendary群のみ低い傾向にあった.類骨の染色性は,SDT-Sedentary群のみ低下していた.海綿骨BMDでは全群間で有意差は認められなかったが,骨量・骨梁幅・骨梁数などはCont群と比較しSDT-Sedentary群のみ有意に低値を示した.
  • 結論:運動により十分な血糖改善がなされず長期に及んだ場合,骨構造の改変はなされるが骨強度を十分に保つまでには至らなかった.

 

【文献抄読】

担当:鈴木

タイトル:Hip muscle strength and protection against structural worsening and poor function and disability outcomes in knee osteoarthritis.

出典:Chang et al. Osteoarthritis and Cartilage 2019, 27(6): 885-894.

  • 目的:変形性膝関節症 (膝OA) 患者における股関節外転筋力が、2年後の膝関節重症度と5年後の身体機能に与える影響を明らかにする。
  • 方法:膝OA患者250名を対象とし、Baselineで股関節外転筋力とMRIによる膝関節重症度、身体機能を測定した。その後、2年後にMRIによる膝関節重症度、5年後に身体機能を再度測定し、各アウトカムに対する股関節外転筋力の影響を縦断的に検討した。
  • 結果:Baselineの股関節外転筋力が高い対象者は、2年後の膝関節の重症化リスクが有意に低下していた。さらに、Baselineの股関節外転筋力が高い対象者は、5年後の身体機能低下のリスクが有意に低下していた。
  • 結論:膝OAのマネジメントにおいて、股関節外転筋力が重要な要素であることが示された。