4/13 勉強会

【研究報告】

担当:清野

タイトル:Foam rolling長期介入がROMと筋硬度に与える影響

  • 目的:Foam rolling(FR)長期介入による効果とROM増加に与える因子を明らかにする
  • 方法:健康成人30名をFR群,コントロール(CON)群に群分けし,FR群はFRを週3回,5週間実施した.1回のFRは30秒×3セットとした.測定項目は足関節背屈可動域(DF ROM),耐性トルク,筋硬度とし,長期介入前後に測定した.
  • 結果:DF ROMは有意な交互作用が認められ,FR群で有意に高値を示した.耐性トルクおよび筋硬度では有意な交互作用および主効果は認められなかった.さらにDF ROM変化量と各指標の変化量の相関関係を見た結果,DF ROM変化量と耐性トルク変化量間に有意な正の相関がみられた.
  • 考察:本研究の結果は,5週間のFR介入により,DF ROMは増加するが,筋硬度は変化せず,耐性トルクがROM増加に関与していることが明らかになった.本研究結果で確認されたROM改善のメカニズムにより,対象により介入方法の選択が可能となることが考えられる.

 

【文献抄読】

担当:高橋

タイトル:Transient Receptor Potential Ankyrin 1 (TRPA1) Mediates Lipopolysaccharide (LPS)-Induced Inflammatory Responses in Primary Human Osteoarthritic Fibroblast-Like Synoviocytes

出典:Inflammation, Vol. 41, No. 2, April 2018 (# 2017)

  • 目的:LPSによりOA滑膜の線維芽様細胞(FLS)に炎症を惹起した時のTRPA1の役割を明らかにする.
  • 方法:実験①ヒトOA-FLSを単離・培養し,Control条件,LPS条件,LPS+TRPA1阻害条件(阻害剤やsiRNAなど)で比較検証した.測定項目は,RT-PCR,WB,共焦点レーザー顕微鏡を用いたCa2+流入測定,Elisaの4項目.実験②LPS誘発性のOAモデルラットを用い,OA条件とOA+TRPA1阻害条件間における滑膜と軟骨の組織学的検証を行った.
  • 結果:実験① OA-FLSに対してのLPS,IL-1β,TNF-α刺激は,TRPA1を時間および量依存的に増加させた.また,OA-FLSを用いたCa2+流入測定では,LPS刺激により有意に上昇するが,TRPA1阻害剤投与によりCa2+流入はキャンセルされた.その他にIL-6,MMP-1,MMP-3についても,LPS刺激で有意に上昇したが,TRPA1阻害条件下ではmRNAレベル,タンパクレベルともに減弱した.実験② 組織学的検証においても,TRPA1阻害剤条件下では,滑膜および関節軟骨に対し保護効果があった.
  • 結論:TRPA1がOT治療のターゲットとなり得ることが示唆された.