4/19 勉強会

【研究報告】

担当:下門

タイトル:キック泳中のスイマー後流にできた渦を用いて獲得した力の大きさを推定する

  • 目的:水中キック泳中のスイマー後流に形成された渦から推力を推定する。
  • 方法:回流水槽にて、熟練スイマー1名が水中ドルフィンキック泳で泳いだ。PIV法(Particle Image Velocimetry method)を用いて、スイマー後流の矢状面の流れを可視化した。また、モーションキャプチャを用いて、動作分析を同時に行った。得られた流れ場から渦度を算出し、一定面積での渦度を積分することで循環(Γ)を算出した。同じ渦の画像を用いて、足部の形状と移動速度から推力を推定するTraditional法と、渦輪(Vortex rings)の面積から推力を推定するVortexrings法で比較した。
  • 結果:Traditional法よりも、Vortexrings法の方が理論値の値に近く、バラツキも少ないことが確認された。一方、推力を推定する手続きでは計測技術や解析手法に課題があり、改善点が浮かび上がった。
  • 結論:スイマー後流に形成された渦から推力を推定することは可能である。

 

【文献抄読】

担当:長坂

タイトル:Specific Brain Reorganization Underlying Superior Upper Limb Motor Function After Spinal Cord Injury: A Multimodal MRI Study 

出典:Nakanishi et al., Neurorehabilitation and Neural Repair 2021 vol.35(3) 220-232

  • 目的:脊髄損傷後の機能回復や障害に関連する神経可塑性の研究は広く行われているが,残存機能に関する可塑性はほとんど明らかになっていない.本研究では,下位胸髄および腰髄の損傷による下肢の完全運動麻痺を負った被験者の上肢機能に関連する脳の可塑性を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:8名の脊髄損傷者と10名のコントロール被験者(四肢の運動麻痺がない)を対象とした. 3TMRI装置を用いて①運動調節課題(握力調節)時の脳活動計測,②安静時の脳活動計測,さらに③脳構造を取得した.それぞれの画像を対象に①課題実施時の脳活動,②安静時の一次運動野を関心領域とした相関解析,③voxel based morphometryを行った.
  • 結果:①脊髄損傷者はコントロール被験者と比較して運動調節課題時に活動領域が小さいことが示され,さらに②一次運動野と上頭頂小葉に強い神経結合が確認された.また③脊髄損傷者の上頭頂小葉は灰白質容積増大の信号を示した.
  • 結論:脊髄損傷者の残存機能を機能的に司る脳領域および身体図式に関わる脳領域には機能と構造さらにはネットワークレベルの可塑性が生じている.