2/14 勉強会

【研究報告】

担当:堀田

タイトル:体外式膜型人工肺はラット骨格筋の低酸素と筋機能障害を惹起する

  • 目的:体外式膜型人工肺(ECMO)が骨格筋収縮時の組織酸素分圧および筋機能に及ぼす影響について検証した.
  • 方法:雄性Sprague-Dawleyラット(月齢 3-4ヶ月)の前脛骨筋を対象筋とした.麻酔下で右頸静脈に脱血管,左頸動脈に送血管を留置し,ECMOと接続することで人工肺によるガス交換を実施した.偽介入として脱血管と送血管を留置するがECMOに灌流しないSham群を設けた.右前脛骨筋に電極を留置し,ECMO管理中に電気刺激による筋収縮(5V, 2ms, 1Hz, 180s)を実施した.ストレインゲージを用いて筋張力を,リン光クエンチング法により前脛骨筋間質の酸素分圧(PO2is)をそれぞれリアルタイムかつin vivoで計測した.
  • 結果:Sham群とECMO群の動脈血酸素分圧はいずれも 400 mmHgと高酸素血症を呈した.一方で,sham群と比べてECMO群のPO2isは安静時および収縮時いずれの時点においてもそれぞれ有意に低値を示した(それぞれP<0.05). Sham群と比べてECMO群の筋張力のピーク値は有意に低値を示した.電気刺激により増加した筋張力が回復する際の曲線を非線形回帰分析により回復速度(rate constant)および時定数(tau)を解析した.その結果,sham群と比較してECMO群のrate constantは低値を,tauは高値を示した(それぞれP<0.01).
  • 考察:ECMOにより高酸素血症が誘導されたが,同じように高酸素化したshamと比較すると骨格筋間質の酸素分圧は低値を示した.ECMOにより低酸素へ誘導された骨格筋においては,収縮力と弛緩速度の低下が生じた.
  • 結論:体外式膜型人工肺モデルラットの骨格筋の収縮時における酸素分圧は正常ラットと比べて低値を示し,同時に骨格筋の収縮力および弛緩速度を低下させた.

 

【文献抄読】

担当:松橋

タイトル:Dual-Task-Based Drum Playing with Rhythmic Cueing on Motor and Attention Control in Patients with Parkinson’s Disease: A Preliminary Randomized Study パーキンソン病患者の運動と注意抑制に及ぼす二重課題に基づいたリズミカルな合図を伴うドラム演奏

出典:International Journal of Environmental Research and Public Health 2021, 18, 10095. https://doi.org/10.3390/ijerph181910095

  • 目的:パーキンソン病(PD)患者の上肢の運動制御と注意制御に対する,リズミカルな合図を用いたドラム演奏介入の効果を評価すること.
  • 方法:被験者12名を,リズミカルな合図を用いたドラム演奏介入(DPRC)群と対照群に無作為に振り分け, リズミカルな合図との同調の持続時間および同調までの潜時時間と巧緻動作,認知機能の評価を行った.
  • 結果:DPRC群は介入前から介入後で,同調の持続時間(45BPM)および同調までの潜時時間を有意に増加させたことが示され,同調までの持続時間,認知機能評価の改善が認められた.
  • 結論:DPRCが上肢運動制御と注意制御を改善させることを示唆し,PD患者のリハビリテーションにおいて新しい介入法の開発を支持するものである.