5/30 勉強会

【研究報告】

担当:一杉さん(M2)

タイトル:敗血症ラットにおける筋収縮中の骨格筋酸素動態における活性酸素種の影響

  • 背景:敗血症では骨格筋への酸素供給が障害されている可能性が示されているが, 実際の骨格筋酸素動態は解明されていない.
  • 目的:敗血症モデルラットにおける骨格筋酸素動態を解明し, その動態に対する活性酸素種の影響を検討する.
  • 方法:雄性Sprague-DawleyをSHAM群, 敗血症群, 活性酸素除去作用を有するアスコルビン酸投与群の3つに群分けした. 敗血症群では盲腸結紮穿孔により敗血症を誘発した. りん光クエンチング法を用いて脊柱僧帽筋の間質酸素分圧を安静時から筋収縮中にかけて測定した.
  • 結果:SHAMと比較して敗血症群では, 筋収縮中の脊柱僧帽筋酸素分圧がより急速に低下し, かつより低値を示した. この酸素分圧の急速な低下はアスコルビン酸投与により改善された.
  • 結論:敗血症は筋収縮中の骨格筋酸素動態に影響を与え, これはアスコルビン酸投与により改善する可能性がある.

【文献抄読】

担当:菊元先生

タイトル:Concurrent assessment of gait kinematics using marker-based and markerless motion capture

出典:Kanko et al., Science, 2021 doi: 10.1016/j.jbiomech.2021.110665

  • 背景と目的:反射マーカーの貼付が必要となる動作解析は専門的な触診技術を必要とし,触診技術や皮膚運動による計測値の誤差が生じたり,他施設との共同研究が困難になるなど,様々な問題点が生じている.そこで,マーカーを必要としない解析システムにより,物理的なマーカーへの依存を減らすことで,簡便にデータ収集の容易性を高めることが可能となる.本研究は,反射マーカーを貼付した動作解析と,マーカーを必要としない動作解析システムによる解析結果の比較検証を行うことを目的とした.
  • 方法:健康でレクリエーションに積極的な30名(男性15名/女性15名)を対象に,歩行動作における関節中心位置,下腿セグメントの角度,下肢関節角度を,反射マーカーを貼付した動作解析とマーカーを必要としない解析,両手法により算出した.両動作解析法により算出された値に二乗平均平方根を行い,その差を検証した.
  • 結果:関節中心位置の推定値の差は股関節で3.6cmとなり,他関節に比して最値を示した.下腿セグメントのグローバル座標軸上の角度の差は,大腿部と下腿部のZ軸成分,足部のY軸成分で7.0°~13.0°の差が生じ,他成分より高値を示した.また下肢関節可動域では,下肢全関節の回旋角度と足関節内外反角度で大きな差を示した.
  • 結論:マーカーを必要としない動作解析によるデータ収集の実用的な利点を優先する場合には,適切な代替技術になることが示された.しかしながら,各解析システムにより得意不得意な動作があるため,解析する動作の見極めが重要となる.また,年齢や性別,民族,健康状態,解剖学的変形,衣服など,被験者の特徴を含む様々な要因に対する感度が不十分であり,異なる特性を持つサンプルでは結果が異なる可能性があるため更なる検証が必要である.