8/8 勉強会

【研究報告】

担当:玉越先生

タイトル:脳出血後超早期リハビリテーションの効果検証

  • 目的:本研究では,脳出血超早期からの運動がミクログリアおよびマクロファージに与える影響について検討した.
  • 方法:コラゲナーゼ溶液を左線条体に微量注入し,脳出血モデルラットを作製した.SHAM群,非運動群(ICH),超早期運動群(ICH+VET)に無作為に割り当てた.ICH+VET群には,ICH後6時間,24時間,2日目から6日目にトレッドミル走を実施した.運動機能評価はラダーテストとロータロッドテストを用いて,ICH後3時間,25時間,7日目に実施した.手術後8日目に運動後の脳組織を採取し,傷害体積を調査した.マクロファージとミクログリアのマーカーであるCD80,CD163,TMEM119のタンパク質発現量をICH後6時間,24時間,8日目に解析した.また,ICH後8日目にNeuN,GFAP,PSD95のタンパク質解析も行った.
  • 結果:超早期の運動介入により,運動機能障害は一時的に悪化した.ICH後8日目の病変体積はICH群とICH+VET群の間に有意差はなかった.超早期からの運動はCD163蛋白発現の上昇を抑制した.
  • 結論:超早期の運動は抗炎症関連マクロファージ/ミクログリアの活性化を抑制する可能性がある.

【文献抄読】

担当:大野先生

タイトル:Brain charts for the human lifespan

出典:Bethlehem et al., nature, 2022. doi: 10.1038/s41586-022-04554-y

  • 目的:誰もが利用可能なオープンソース(http://www.brainchart.io/)として,世界最大かつ最も包括的な脳成長チャートを作成することを目的とした.
  • 方法:妊娠後115日から100歳までのヒト被験者101,457人から,100以上の主要研究にわたる123,984件のMRIスキャンの構造データ対象にした.MRI構造データを収集し,脳領域毎の体積などをFreeSurferで抽出した.得られたデータと年齢,性別,各研究間での変動を変量効果としてGAMLSS(generalized additive models for location, scale and shape)モデルに入力し,回帰モデルを作成した.
  • 結果:GMVは妊娠中期以降に大きく増加し,5.9歳でピークに達し,その後直線的に減少した.
  • 結論:脳成長曲線を数学的手法を用いてモデル化し,包括的な脳成長標準データベースの開発をし得た.