9/5 勉強会

【研究報告】

担当:池上先生

タイトル:温熱療法による筋委縮予防効果の検討とそのメカニズムの解明―温度感受性TRPチャネルに着目して―

  • 背景:温熱刺激は温度感受性チャネル(TRPV1)を活性化させ,骨格筋細胞内へカルシウムイオン(Ca2+)を流入させる.
  • 目的:温熱刺激によるTRPV1を介した細胞内Ca2+濃度 ([Ca2+]i)の増加と骨格筋肥大の応答は,熱刺激時間に依存するという仮説を検証した.
  • 方法:実験1:温熱刺激負荷中の[Ca2+]iin vivo環境下で60分間測定した (Heat群).対照群は筋温を30℃に維持し測定を行った (CONT群).実験2:ラットの右後肢に慢性的な温熱刺激を負荷し筋湿重量を測定した.
  • 結果:実験1:CONT群は有意な[Ca2+]i変動を認めなかった一方で,Heat群の[Ca2+]iは初期値と比較し5分以降で有意に増加した.実験2:筋湿重量は20分負荷では対照脚と比較し有意に増加したのに対して (11 ± 2%, P < 0.05),60分負荷では減少傾向であった.
  • 結論:温熱刺激負荷の時間経過による[Ca2+]i動態の違いが骨格筋の温熱刺激に対する適応を変化させることが示唆された.

【文献抄読】

担当:高林先生

タイトル:Classification of medial longitudinal arch kinematics during running and characteristics of foot muscle morphology in novice runners with pronated foot

出典:Kim et al., PeerJ, 2021. DOI 10.7717/peerj.11760

  • 目的:本研究はランニング中の内側縦アーチに基づく扁平足の分類と筋形態の特徴を検証した.
  • 方法:21名39足の扁平足者を対象とし,FPI-6にて分類した.クラスター分析を用いて,ランニング中の舟状骨高から扁平足を分類した.さらに,分類された扁平足者間の足部筋形態(外在筋,内在筋)の特徴を比較した.
  • 結果:3つのサブグループに分類に分類され,クラスター1のグループが最も内側縦アーチが下降していた.また,クラスター間で内在筋の横断面積(母趾外転筋,短母趾屈筋)が異なっていた.
  • 結論:分類された3つのサブグループで足部の筋形態が異なり,各サブグループによってランニング障害のタイプが異なる可能性が示唆された.