11/7 勉強会

予演会 第41回日本臨床神経生理学会・学術大会 2011.11.10-12(静岡)

担当:大西(教育講演)

演題名:随意運動時および触覚刺激時における大脳皮質活動

<概要>

運動開始直後に観察される脳活動(運動誘発磁界第一成分:MEF1)を発生させている感覚受容器は何か?MEF1が発生している場所は脳内の何処か?

この2つの解明するために実施してきた下記の研究結果を紹介.

(1)筋収縮強度を変化させた際のMEF1の変動について(Onishi H, et al., Brain Research 1123: 112-118, 2006.)

(2)電気刺激による単一筋収縮時の磁界反応とMEF1との比較(Onishi H, et al., Clinical Neurophysiology 122: 605-610, 2011)

(3)他動運動時の誘発反応とMEF1との比較(Onishi H, ECCN, 2011)

(4)単純触覚刺激時の誘発磁界について(Onishi H, et al., Clinical Neurophysiology 121: 588-593, 2010.)

(5)能動的・受動的触覚刺激時の誘発磁界について

担当:大山(ポスター)

演題名:両手二点識別の体性感覚誘発脳磁界

【目的】本研究では,触圧覚二点刺激を与えた時の体性感覚誘発脳磁界を計測し,二点識別の処理過程を検討した.

【方法】対象は健常男性6名とし,306ch脳磁界計測装置で計測した.二点刺激は明らかに二点と判別できるピン間隔7.2mmの
刺激を与えた時と,ピン間隔が2.4,4.8,7.2mmの刺激をランダムに与え識別させた時(二点識別条件)の2条件を設定した.
両条件とも右示指と両側示指に対して行った.

【結果】一側,両側同時刺激とも両条件において60,150,300ms後に第一,第二,第三成分波形が左半球に認められ,両条件間で
これらの振幅値を比較すると一側刺激では差はなかったが,両側同時刺激では二点識別条件で第二,第三成分の振幅が有意に
増大した.これらの電流発生源は,それぞれ3b野と3b野後方に同定された.

【考察】両側刺激は一側刺激に比べ多シナプス的に興奮性が増大することで鮮明に二点識別過程が解析でき,
5野近辺での活動が観察できたと考えた.

担当:丸山(ポスター)

演題名:投動作運動観察が鍛錬者および非鍛錬者のventral premotor-motor connectivity興奮性に及ぼす影響

【目的】運動観察時には腹側運動前野にある多くミラーニューロンが興奮すると言われる。本研究は、二重経頭蓋磁気刺激法を
用いて投球動作運動観察時の左腹側運動前野(PMv)-左運動野(M1)の抑制変化を検討した。

【方法】被験者は7名の大学野球部員(熟練者)および7名の非熟練者である。運動観察は繰り返しのスローモーション投球動作である。
磁気刺激の強度はPMvで安静時運動閾値の90%、M1の右FDI筋部位に約1.2mVが誘発できる強度であり、PMv-M1間のISIは4msと
6msとした。運動観察は2回で磁気刺激はコントロール時と観察時に行った。

【結果・考察】熟練者および非鍛錬者のMEPM1に対するMEPPMv-M1比(%)は両群のコントロール値でほぼ83%であり、
観察時には熟練者で共ほぼ100%と抑制は低下した。非熟練者では変化がなかった。熟練者のPMv-M1の抑制低下は
運動観察によってミラーニューロンの興奮の高まりが運動野への抑制に影響を与えたと考えられる。

演題名:筋疲労による皮質内抑制低下が短時間タイピング学習成績に及ぼす影響

【目的】 筋疲労は回復期に皮質内抑制の低下を起こすと言われる。筋疲労による皮質内抑制低下が短時間の手指運動学習に
及ぼす影響を検討した。

【方法】 10分間タイピング(TYP)練習+2分間の50%MVCグリップ運動+10分間TYP練習の各前後と、10分間 TYP練習
+10分間TYP練習の各前後に二重経頭蓋磁気刺激(TMS)を行った。TMS刺激法はtest刺激のみ、test刺激+conditioning刺激
ISI=3ms(SICI), test刺激+conditioning刺激ISI=10ms(ICF)の3条件をランダムに組み合わせて行った。

【結果および考察】 2回の10分間のT練習後にはSICIは変化せず、TYP速度は2回目の練習で低下する傾向にあった。
しかし、筋疲労後の2回目のタイピング練習後にSICIは低下し、さらに筋疲労後のTYP速度は高まった。筋疲労後のTYP速度の
向上は筋疲労による皮質内抑制低下が指制御の抑制を減らしたために生じたと考えられる。