3/20 勉強会

【研究報告】

担当:高林先生

タイトル:ASMR動画視聴がもたらす脳機能効果

  • 目的:足部アーチの形態(Arch height index:AHI)および柔らかさ(Arch height flexibility:AHF)が,ランニング中の足底腱膜張力と関連するかを検証した.
  • 方法:健常男性22名を対象とした.体重の50%荷重時のアーチ高と切頂足長を用いてAHIを算出し,体重の10%および50%荷重時のアーチ高を用いてAHFを算出した.ランニング中の反射マーカー位置を三次元動作解析装置で測定し,床反力のモーメントアームと床反力を用いて足底腱膜張力を定量化した.ピアソンの相関係数を用いて,AHIと足底腱膜張力のピーク値,AHFと足底腱膜張力のピーク値の関連性を検証した.
  • 結果:AHIと足底腱膜張力のピーク値は有意な関連性は認めなかった.一方で,AHFと足底腱膜張力のピーク値の間に有意な正の相関関係を認め(r = 0.57,p < 0.01),AHFが高い(荷重で足部アーチが下降しやすい)者ほどランニング中の足底腱膜張力が高い値を示した.
  • 結論:AHFが高いランナーは足底腱膜炎を発症しやすい可能性がある.

【文献抄読】

担当:川上さん

タイトル:Potential role for peripheral nerve stimulation on learning and long-term memory: A comparison of alternating and direct current stimulations

出典:Alison et al., Brain Stimul. 2022, DOI: 10.1016/j.brs.2022.03.001

  • 背景:大後頭神経(ON)に対する非侵襲的脳刺激法は,青斑核-ノルアドレナリンシステムに作用し連想学習を促進させる可能性がある.ONに対する経頭蓋電流刺激(tDCS)および経頭蓋交流電気刺激(tACS)が,連想学習の即時効果と長期効果に及ぼす効果の違いを検討した.
  • 方法:健常成人85名を4群に振り分け(tDCS,tACS 40 Hz,tACS 1 Hz,偽刺激),スワヒリ語を用いた連想学習中にONに対する経頭蓋電気刺激を与えた.即時記憶と7日後の長期記憶を評価した.ノルアドレナリンシステムの変化を唾液中のαアミラーゼ濃度を用いて評価した.
  • 結果:ON-tDCS群では7日後の忘却率が低下し,ON-40 Hz tACS群では1日目の学習率が向上した.また,ON-tDCS群およびON-40 Hz tACS群でαアミラーゼ濃度が学習後に増加した.
  • 結論:ONに対するtDCSと40 Hz tACSはノルアドレナリンシステムに影響を与え,tDCSは長期記憶に,40 Hz tACSは即時記憶に影響を与えることを示唆した.