4/3 勉強会

【研究報告】

担当:高橋さん

タイトル:異なる感覚条件下でのバランス制御能力と脳構造の関連

  • 目的:mCTSIBの評価を用いて,各感覚条件下でのバランス制御能力と脳構造の関連を明らかにする.
  • 方法:健常若年者48名を対象に,Eye open(EO)条件,Eye closed(EC)条件,Eye open foam rubber(EOF)条件,Eye closed foam rubber(ECF)条件での重心動揺測定を実施した.その後,MRIにてT1強調画像を撮像した.
  • 結果:EO条件の重心動揺と海馬のGM容積に正の相関が認められた.固有受容感覚での制御能力と両側中心前回に負の相関が認められた.また,全脳解析にてEO条件での重心動揺と海馬に関連が見られたため,関心領域として海馬前部と海馬後部との関連性についても検討した.その結果,EO条件での重心動揺と海馬前部に正の相関が認められたが,海馬後部ではそのような関連性は認められなかった.
  • 結論:開眼立位時の重心動揺が低値の被験者ほど,海馬のGM容積が減少していることが分かった.また,固有受容感覚での制御能力が高い被験者は,右中心前回のGM容積が増加していることが明かになった.

【文献抄読】

担当:宮口先生

タイトル:Cerebellar excitability regulates physical fatigue perception

出典:Casamento-Moran et al., J Neurosci. 2023, DOI: 10.1523/JNEUROSCI.1406-22.2023

  • 目的:小脳には,疲労状態を調節する役割があるかどうかを明らかにすることとした.
  • 方法:対象は健常成人33名(18-35歳)であった.筋疲労課題には,ピンチ動作を用いた.被験者は,最大随意収縮(MVC)の80%強度にて持続的にピンチ動作を遂行し,40%MVCとなるまで遂行した(5セット).筋疲労課題前後に経頭蓋磁気刺激を用いて小脳抑制を計測した.また疲労課題前後の疲労感(0~100),MVC時の張力を計測した.
  • 結果: 小脳抑制が低下した人ほど,疲労感が少ない関係性が認められた.また身体的な疲労の指標(MVCの値)と疲労感には相関関係は認められなかった.
  • 結論:疲労課題によって小脳抑制が低下した人ほど疲労感が少なかったことから,小脳の興奮性変化が疲労感の調節に関与している可能性が考えられた.