7/31 勉強会

【研究報告】

担当:阿久澤先生

タイトル:第5中足骨に皮質骨肥厚を認める男子サッカー選手の足部の形態的特徴

  • 目的:第5中足骨疲労骨折につながる可能性のある皮質骨肥厚を認めるサッカー選手に特徴的な足部形態を,非侵襲的な方法で明らかにすること.
  • 方法:大学男子サッカー部所属の54名108足を対象に,超音波画像診断装置にて第5中足骨皮質骨の膨隆を評価した.また,三次元足型自動計測機を使用して,静止立位時の足部形態(足長,足幅,足囲,足高,第1趾側角度,第5趾側角度,足部内側角度,足部外側角度,Arch Height Index)を計測した.皮質骨の膨隆の有無で群分けし,足部形態の各要因を比較した.
  • 結果:7名9足に第5中足骨皮質骨の膨隆を認めた.皮質骨膨隆を認める群は,有意に足幅が狭く,第1趾側角度と足部内側角度が小さかった.
  • 結論:足部内側角度が小さく足幅も狭い選手は圧の分散に不利な足部形態であり,中足骨に負荷が加わりやすい可能性が示唆された.

【文献抄読】

担当:小島先生

タイトル:The interactions between primary somatosensory and motor cortex during human grasping behaviors

出典:Davis et al., Neuroscience, 2022, 485:1-11. DOI: 10.1016/j.neuroscience.2021.11.039

  • 目的:運動制御方法の違い(精密な把持とパワーグリップ)による一次運動野と一次体性感覚野間の関連の違いを明らかにする.
  • 方法:被験者は健常ボランティア25名であった.実験は,①課題中の一次体性感覚野の興奮性指標を計測する(脳波実験),②課題中に末梢刺激後の一次運動野刺激による誘発波形を計測する(短潜時求心性抑制実験),③課題中に一次体性感覚野刺激後の一次運動野刺激による誘発波形を計測することの3つを実施した.課題は,①母指と示指でつまむ動作と②全指で握る動作の2条件とした.なお,どちらの条件も最大随意収縮の10%を維持する課題とした.
  • 結果:①の母指と示指でつまむ条件では,一次体性感覚野の興奮性が②の条件より高値を示した.また,①の条件では短潜時求心性抑制の抑制度合いが有意に高値を示した.
  • 考察:①の条件のような精密に把持する場合と②の条件のような全指で把持する場合には,異なる制御方法が確認され,特に一次体性感覚野と一次運動野間の関連が異なることが示された.