9/4 勉強会

【研究報告】

担当:犬飼先生

タイトル:

  • 目的:反復的なアキレス腱への振動刺激が立位重心動揺に与える影響を検証すること.
  • 方法:健常若年者17名を対象とし,振動刺激装置(特注品)を用いてアキレス腱への刺激を反復的に実施した(30秒間×6回).アキレス腱への振動刺激前後にEO条件(開眼立位),EC条件(閉眼立位),ECF条件(フォームラバー+閉眼立位)の3条件での立位重心動揺を測定し,反復的なアキレス腱刺激が刺激後の立位重心動揺に与える影響について検証を行った.
  • 結果:EO条件,EC条件では,アキレス腱への振動刺激前後で立位重心動揺に変化を認めなかった.ECF条件では,アキレス腱への振動刺激後に立位重心動揺の有意な減少が認められた.また,アキレス腱への振動刺激への適応が良好であった被験者では,刺激後にEO条件ならびECF条件での立位重心動揺の減少が顕著である傾向があることが明らかとなった.
  • 結論:反復的にアキレス腱に対して振動刺激を行うことで,特定に被験者の立位重心動揺(EO条件・EC条件)が減少することが示唆された.

【文献抄読】

担当:太田先生

タイトル:Gut enterochromaffin cells drive visceral pain and anxiety

出典:Bayrer et al., Nature, 2023, 616(7955): 137–142. DOI: 10.1038/s41586-023-05829-8

  • 目的:腸粘膜細胞の亜種であるエンテロクロマフィン(EC)細胞が内臓痛やそれに伴う不快感に関与するか明らかにする.
  • 結果:(1) EC細胞およびその支配神経の阻害および活性化によって,EC細胞とその支配神経が内臓痛に関与することが明らかとなった.特に,メスにおいて活性が顕著だった. (2) 3週間にわたって継続的にEC細胞を活性化し続けたマウスにおいて内臓痛の増強がみられた.(3) EC細胞の阻害および活性化のいずれによっても機械受容器の神経興奮は影響を受けなかったことから,EC細胞―支配神経系は機械刺激に対し非感受性であると考えられた.(4) EC細胞の活性および阻害により本モデルの不安行動が増強および減弱したことから,EC細胞は内臓痛に伴う情動面にも寄与することが示唆された.
  • 結論:EC細胞とその支配神経の回路は急性・慢性の胃腸痛において重要であると考えられる.