3/4 勉強会

【研究報告】

担当:山代先生

タイトル:Motor responses differentially modulate activation of somatosensory and auditory cortices

  • 目的:運動が体性感覚および聴覚皮質の神経活動に与える影響について明らかにする.
  • 方法:被験者は30名(現在まで)とし,体性感覚刺激(右手示指)と聴覚刺激(両耳)に対する刺激に対して単純反応課題を実施した.刺激強度は体性感覚で感覚閾値の3倍,聴覚刺激で1000Hz,60dBとした.刺激間隔はどちらの刺激でも平均10秒間とし,安静条件,カウント条件(注意),運動条件の3条件とした.
  • 結果:体性感覚皮質においては運動条件,カウント条件,安静条件の順に神経活動が大きかった.しかし, 聴覚皮質における神経活動には大きな差は認められなかった.
  • 結論:これらの結果から運動が体性感覚および聴覚皮質の神経活動に与える影響が異なることが明らかになった.

【文献抄読】

担当:大石さん

タイトル:Widespread Intra and Inter Network Dysconnectivity among Large Scale Resting State Networks in Schizophrenia

出典:Rong et al., J Clin Med., 2023. 12(9): 3176. doi: 10.3390/jcm12093176

  • 背景:統合失調症は複数の脳内ネットワークの結合不全によって特徴づけられる.しかし,統合失調症の症状とネットワーク内およびネットワーク間の機能的結合の異常との関係は依然として不明である.本研究の目的は統合失調症患者と健常者間の脳内ネットワーク内および脳内ネットワーク間の機能的結合を比較することである.
  • 方法:対象は統合失調症患者196名と健常者169名とした.rs-fMRIの撮像により得られた8つの静止状態の脳内ネットワーク内と脳内ネットワーク間の機能的結合を分析した.
  • 結果:健常群と比較して統合失調症患者群ではDMN内の機能的結合が増加し,CN内の機能的結合が低下した.さらに,統合失調症患者群ではDMN-SN,DMN-FPN間で機能的結合が低下し,SN-DAN間で機能的結合が増加した.
  • 結論:統合失調症患者のDMN,SN,FPN,CNを含む大規模な脳内ネットワーク内および脳内ネットワーク間の結合不全が示された.この結果は脳の機能的結合の異常が統合失調症の病態に関与するという説をさらに裏付けるものである.