12/5 勉強会

研究報告

担当;菅原

研究テーマ:視覚提示方法の違いが運動遂行能力および運動準備過程に及ぼす影響

  • 目的:視覚刺激を用いた反応課題に対してMEG計測を行い,視覚提示方法の違いが運動遂行能力
    および運動準備過程に及ぼす影響を調査すること
  • 方法:運動課題
    1)単純反応課題-光刺激を合図として運動を素早く行う
    2)視覚刺激を使用した【S1-S2課題】-予告刺激(S1)と運動開始刺激(S2)の組み合わせ
  • 結果:S1-S2課題でPre-motor timeの有意な短縮がみられ,S1-S2課題にのみ登頂連合野の活動が観察された.
  • 今後の課題:MEG装置を利用し,ヒトを対象とした運動前野の活動を捉えるプロトコール構築を再検討する.

文献抄読

担当;大杉

論文;The time course of motor cortex plasticity after spaced motor practice, Igor Delvendahl et al., Brain Stimulation (2011) 4, 156–64

  • 目的;2つの異なる断続的なプロトコルを用いて,運動課題後に生じるシナプス可塑性の経時的変化を調査すること.
  • 方法;被験者は右利きの健常成人20名(平均年齢24歳)で,異なるプロトコルを実施するために10名ずつを2群に振り分けた.
    筋電図は左手の短母子屈筋から記録した.運動課題は左手の親指の屈曲運動とし,2群に分けられた被験者はそれぞれ6×10分と
    12×5分の異なるプロトコルを実施した.運動学習の効果を評価するために運動課題遂行時に短母子屈筋の最大加速度を計測した.
    また可塑性の評価として,運動課題の直後,30分後,60分後,24時間後TMSによるMEP及びRMTを計測した.
  • 結果;運動課題後に最大加速度は両群において有意に向上し,24時間後も学習効果は維持されていた.
    MEPは運動課題直後に有意な増大を示したものの,24時間後には運動課題前と同等の値であった.
  • 考察;運動課題の直後では,M1において長期増強と同様な可塑的変化が生じていることが示唆された.
    しかし24時間後では,運動記憶が保持されているもののMEPの増大が消失していることから,M1ではなく他の皮質や領野が
    関わっていることが示唆された.シナプス可塑性の経時的変化より,運動記憶のメカニズムは短期記憶と長期記憶において,
    それぞれ異なる機序が作用していると考えられる.