12/16勉強会
【研究報告】
担当:岡本先生
タイトル:月経周期は一酸化窒素依存性および非依存性皮膚血管拡張反応に影響するか?
- 背景・目的:月経周期が皮膚血管機能に影響するかこれまでに一貫した結果は報告されていない.強力な血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の作用は女性ホルモンに影響を受けるため,その変動が大きい月経周期でNO作用が変化するか検討することで,これまでの知見交錯が説明される可能性がある.そこで本研究では,内皮依存性および非依存性皮膚血管拡張反応と前者におけるNO作用に月経周期が影響するか明らかにすることを目的とした.
- 方法:通常月経周期女性13名の卵胞期,排卵期,および黄体期に,NO合成酵素阻害薬の経皮投与後,アセチルコリンとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の経皮投与(大腿部)と局所加温(前腕部)を行った.また,大腿部の異なる部位にニトロプルシドナトリウム(SNP)を経皮投与した.皮膚血流量をレーザードップラー法により測定した.
- 結果:アセチルコリン,CGRP,および局所加温が誘発した皮膚血管拡張反応およびそれにおけるNOの寄与程度とSNP誘発性皮膚血管拡張反応は卵胞期,排卵期,および黄体期の間で差がなく,またそれらと血漿女性ホルモン濃度との間に関係性はなかった.
- 結論:月経周期は内皮依存性皮膚血管拡張反応とそれにおけるNOの寄与と,内皮非依存性皮膚血管拡張反応に影響しない.
【文献抄読】
担当:西口さん
タイトル:Influence of foot strike patterns and cadences on patellofemoral joint stress in male runners with patellofemoral pain
出典:Wei et al., Phys Ther Sport. 2024. 65:1-6. doi: 10.1016/j.ptsp.2023.10.006B2
- 背景:膝蓋大腿部痛(PFP)はランナーにおいて一般的な障害であり,足部接地パターンやケイデンスが膝関節への負荷に影響を与える可能性がある.
- 方法:膝蓋大腿骨痛を有する男性ランナー20名を対象に,6つの条件(後足部接地(RFS)または前足部接地(FFS)の3つのケイデンス条件(増加・好み・低下))でランニングを実施した.解析項目は膝関節伸展モーメント,膝蓋大腿関節ストレスとした.
- 結果:ケイデンスを増加させたランニングにおいて,膝蓋大腿関節ストレスが低値を示した.また,FFSランニングは,すべてのケイデンスにおいて,RFSランニングよりも関節伸展モーメント,膝蓋大腿関節ストレスが有意に低値を示した.
- 結論:PFPを有する男性ランナーにおいて,FFSとケイデンスの増加の組み合わせが膝蓋大腿関節ストレスの減少に有効である可能性がある.