3/3勉強会
【研究報告】
担当:下門先生
タイトル:男性円盤投競技者における手指キネマティクスとリリースパラメータの関係
- 背景・目的:円盤投げパフォーマンス向上のために,リリースパラメータと呼ばれるキネマティクスの重要性が報告されてきたが,近年,投てき物に運動エネルギーを最終的に伝える手指,特に親指による影響が示唆されている.本研究では,男性円盤投競技者のリリースパラメータと手指キネマティクスの関係を調査する.
- 方法:屋内投擲場にて,12名の男性円盤投競技者が4種類の母指肢位(通常,母指の進展,内転,外転)で円盤投を行った.ハイスピードカメラ(960Hz)で手指部分を中心に撮影し,動作分析を行った.
- 結果:母指伸展位でリリース時の円盤の迎角が有意に減少した.また,中指PIP関節の関節可動域とリリース速度との間に有意な正相関(r=.653)が認められた.
- 結論:母指肢位を変えることでパフォーマンスが変わる可能性が示唆された.また,パフォーマンスレベルが高い選手ほど,リリース時に中指第2関節を屈曲していた.
【文献抄読】
担当:木村さん
タイトル:Impact of contraction intensity and ankle joint angle on calf muscle fascicle length and pennation angle during isometric and dynamic contractions
出典:Coenning et al., Sci Rep. 2024. 14:24929. doi: 10.1038/s41598-024-75795-2B2
- 背景・目的:筋収縮時には筋束が短縮するだけでなく,羽状角も変化し筋束よりも速い筋収縮につながる.この現象は筋ギアリングと呼ばれ,筋肉の力の出力に直接影響を及ぼす.等尺性収縮と求心性収縮中に異なる収縮強度と筋肉の長さで羽状角が変化することを示す研究はほとんどない.そのため,この研究ではヒトの下腿三頭筋の広範囲の収縮強度と足首関節角度でこれらの影響を判定することを目的とした.さらに,収縮強度と足首関節角度が筋ギアリングに及ぼす影響を評価した.
- 方法:筋収縮時には筋束が短縮するだけでなく,羽状角も変化し筋束よりも速い筋収縮につながる.この現象は筋ギアリングと呼ばれ,筋肉の力の出力に直接影響を及ぼす.等尺性収縮と求心性収縮中に異なる収縮強度と筋肉の長さで羽状角が変化することを示す研究はほとんどない.そのため,この研究ではヒトの下腿三頭筋の広範囲の収縮強度と足首関節角度でこれらの影響を判定することを目的とした.さらに,収縮強度と足首関節角度が筋ギアリングに及ぼす影響を評価した.
- 結果:筋束の長さと羽根角の間には非線形の関係が見つかった.これは,等尺性収縮中の各筋肉について二次曲線で説明できる.動的収縮中にもほぼ同じ関係が検出された.筋肉のギアリングは収縮の強度と足首関節の角度とともにほぼ直線的に増加した.