4/7勉強会
【研究報告】
担当:齊藤先生
タイトル:手指への同時末梢電気刺激が触覚方位弁別能力にもたらす効果の検討
- 背景・目的:一次体性感覚野において,示指と中指のreceptive fieldは重なり合っている.一次体性感覚野の興奮性増大によって触覚機能が向上することから,示指と中指に同時に末梢電気刺激を与えることで,示指の触覚機能はさらに向上する可能性がある.本研究の目的は示指と中指への同時末梢電気刺激が示指の触覚方位弁別能力にもたらす効果を検証することである.
- 方法:21名の健常成人の示指と中指に末梢電気刺激を与え,刺激前後に触覚方位弁別能力を計測した.
- 結果:示指と中指への同時末梢電気刺激,示指への末梢電気刺激,中指への末梢電気刺激は示指の触覚方位弁別能力を向上させるが,刺激条件による刺激効果の違いは認められなかった.
- 結論:示指と中指への同時末梢電気刺激が触覚機能にもたらす刺激効果は示指への末梢電気刺激と同程度である可能性がある.
【文献抄読】
担当:武田さん
タイトル:Short-and long-latency afferent inhibition of the human leg motor cortex by H-reflex subthreshold electrical stimulation at the popliteal fossa
出典:Kato et al., Exp Brain Res 241: 249–261, 2023. doi: 10.1007/s00221-022-06497-2B2
- 背景・目的:運動制御には末梢感覚情報の入力とその統合が必要不可欠である.ヒトの感覚運動機能を評価するツールとして,短潜時求心性抑制(SAI)および短潜時求心性抑制(LAI)がある.上肢では誘発するための刺激パラダイムが確立されているが,下肢では十分な検証がされていない.本研究の目的は下肢SAIならびLAIを誘発するために必要な末梢電気刺激の刺激強度と刺激間間隔(ISI)を明らかにすることである.
- 方法:本研究は4実験で構成されており,健常成人21名が参加した.下肢のMEPはヒラメ筋から記録した.また膝窩の脛骨神経を刺激部位とした.10種類のISI・2種類の強度の末梢電気刺激を用いSAI・LAIの変化と脊髄興奮性の評価指標としてH反射を測定した.
- 結果・結論:下肢SAIはISI 30・35msで誘発することが可能となり,SAIならびLAIを誘発するために必要な末梢電気刺激の刺激強度はH反射閾値より1mA引いた値であることが示唆された.