4/28勉強会
【研究報告】
担当:髙橋ひろなさん
タイトル:バランス機能に関連する脳構造と機能的結合
- 目的:閉眼片脚立位バランスは,若年健常者において個人差が大きいバランス課題である.近年,脳画像解析技術の発展に伴い,特定の機能の個人差に関与する脳構造や脳機能を捉えることが可能となっている.安静時の機能的結合解析は,特定の機能と関連する脳ネットワークを同定する手法として注目されている.我々はこれまでに,閉眼片脚立位バランスの個人差には小脳虫部Ⅷの灰白質容積が関連することを明らかにした.しかしながら,小脳虫部Ⅷの灰白質容積がどのようなメカニズムで立位バランスの個人差に影響を与えているのかは不明である.本研究の目的は,閉眼片脚立位バランスの個人差に着目し,小脳虫部Ⅷと機能的結合を有する脳領域を全脳レベルで特定することである.
- 方法:対象は,若年健常者47名とし,MRI撮像とバランス機能評価を同日に実施した.MRI撮像は,T1強調画像と安静時の脳機能画像を取得した.閉眼片脚立位バランス機能評価には,左右各2回の閉眼片脚立位保持時間の平均値を算出し,統計解析に使用した.小脳虫部Ⅷと機能的結合を有する脳領域を明らかにするために,機能的結合解析を実施した.小脳虫部ⅧをSeedに設定し,Seed to voxel解析を実施した.多重比較補正には,Family-wise error(FWE)制御による補正を用いた.
- 結果:統計解析の結果,閉眼片脚立位保持時間と小脳虫部Ⅷ-視覚連合野の機能的結合との間に,正の相関関係が認められた(FWE cluster-corrected p value < 0.001).
- 結論:若年健常者における閉眼片脚立位バランスの個人差には,小脳虫部Ⅷと楔部の機能的結合が関与することが示唆された.