6/9勉強会
【研究報告】
担当:安達航希さん
Coming soon
【文献抄読】
担当:上田有紀音さん
タイトル:Physical activity levels are associated with depressive symptoms: A cross-sectional study of 58,445 adults
出典:Queiroga et al., J Affect Disord 369(15): 298-302, 2025. doi: 10.1016/j.jad.2024.09.158B3
- 背景・目的:本研究は,身体活動(PA)と抑うつ症状との関連を明らかにすることを目的とした横断研究である.世界的にうつ症状の有病率が高まる中,PAが予防的効果を持つ可能性が指摘されている.本研究では,サンパウロ州の健康診断受診者58,445名を対象に,PAレベルとうつ症状との関連を検討し,年齢,性別,BMIなどの交絡因子を統制した上で,その関連性の有無と程度を評価した.
- 方法:横断的デザインに基づき,2012〜2016年にブラジル・サンパウロ州で健康診断を受診した18歳以上の成人58,445名を対象とした.身体活動レベルは国際身体活動質問票(IPAQ)により評価し,週あたりの活動時間に基づき分類した.抑うつ症状はBeck Depression Inventory-II(BDI-II)を用いて測定した.ロジスティック回帰分析を用いて,年齢,性別,BMI,教育歴,慢性疾患の有無などの交絡因子を調整し,身体活動レベルとうつ症状との関連を検討した.
- 結果・結論:本研究では,身体活動量が多い参加者ほど抑うつ症状を有する割合が有意に低いことが明らかとなった.特に,週に500~1000 MET分以上の中等度から高強度の身体活動を行っている群では,無活動群と比較して抑うつ症状のオッズ比が有意に低下していた.また,性別や年齢層を問わずこの傾向は一貫しており,身体活動が幅広い集団において抑うつ症状の予防因子となる可能性が示唆された.さらに,分析においては教育歴,BMI,慢性疾患の有無などの交絡因子を調整してもなお,身体活動とうつ症状との有意な逆相関が確認された.これらの結果は,身体活動の促進が精神的健康の維持やうつ病予防に資する重要な公衆衛生戦略であることを支持している.