6/16勉強会

【研究報告】

担当:渡辺佳音さん

Coming soon

【文献抄読】

担当:清水俊之介さん

タイトル:Handwriting strokes as biomarkers for Alzheimer’s disease prediction: A novel machine learning approach

出典:Nardone et al., Comput Biol Med 190: 110039, 2025. doi: 10.1016/j.compbiomed.2025.110039

  • 背景・目的:アルツハイマー病(AD)の早期診断は重要であるが,既存の診断法は高コストで侵襲性が高い.筆跡分析は非侵襲的かつ低コストな代替手段として有望である.従来の研究では,筆記タスク全体の特徴量を平均化して用いるため,診断に有効な微細な運動情報が失われる可能性があった.本研究は,筆跡を構成する個々の「ストローク」を基本単位として分析する,新しい機械学習アプローチを提案し,ADを予測する機械学習モデルから,重要な特徴量を抽出することを目的とした.
  • 方法:AD患者89名と健常対照群85名(計174名)を対象とした.被験者はWacomタブレットを使用し,図形模倣や口述筆記など34種類の筆記タスクを実施した.ペンが紙に接している間(On-paper)と離れている間(In-air)の動きから,個々のストローク単位で動的・静的特徴量を抽出した.複数の機械学習モデル(Random Forest, SVC等)を用いてストロークを分類し,さらに特徴量選択やアンサンブル学習(多数決,ランキング法,スタッキング法)を適用して被験者レベルの予測精度を評価した.
  • 結果・結論:提案したストロークベースのアプローチは,34タスク中24タスクにおいて,従来法(タスク全体の統計値を用いる手法)より有意に高い分類精度を示した.特に,複数のタスクの予測を統合するアンサンブル学習が有効であり,「ランキング法」を用いたモデルで最高精度80.18%を達成した.説明可能性分析(SHAP)により,「口述による文章筆記」タスクや,筆圧,ジャーク(加速度の変化)といった特徴量がADの識別に重要であることが明らかになった.これらの結果は,個々のストローク分析がADの微細な運動変化を捉えるのに有効であり,本アプローチが非侵襲的かつ効果的な早期スクリーニング手法となる可能性を示唆している.