7/28勉強会
【研究報告】
担当:西口ほのかさん
タイトル:インソールの反発性の違いが前足部接地ランナーのアキレス腱張力および足底腱膜張力に与える影響
- 背景・目的:前足部接地は後足部接地と比較してアキレス腱や足底腱膜の負荷が高いことが報告されており,アキレス腱障害・足底腱膜炎の予防には前足部接地時の足底腱膜負荷の減弱が重要である.障害予防の手段としてインソールの使用が報告されており,インソールは低反発(高衝撃吸収性)と高反発(低衝撃吸収性)で機能が異なる.低反発は推進期で必要とされるエネルギーも吸収してしまい,足底腱膜張力が増加する可能性がある.そこで本研究は,反発性の異なるインソールが前足部接地ランニング時の足底腱膜張力に与える影響を検証した.
- 方法:前足部接地ランナー13名を対象に下肢・足部に反射マーカーを貼付し,反発性の異なるインソールでのランニング(16 km/h±5%)を床反力計上で実施した.使用したインソールは低反発,中反発,高反発の3つとした.解析項目は,右脚立脚期のアキレス腱張力及び足底腱膜張力ピーク値,1ステップあたりの立脚期全体の力積と立脚後期の力積とした.3つのインソール条件間で解析項目を統計学的に比較した.有意水準はボンフェローニ法で補正した(α= 0.016).
- 結果:アキレス腱張力のすべての解析項目で有意差は認められなかった.足底腱膜張力のピーク値,1ステップあたりの立脚期全体の力積と立脚後期の力積において,低反発インソールは高反発インソールと比較して有意に高値を示した.(p<0.016)
- 結論:前足部接地ランナーにおいて,低反発インソールは衝撃吸収には優れているが,推進期の足底腱膜張力を高める可能性がある.
【文献抄読】
担当:北谷亮輔先生
タイトル:Time-of-day effects on motor unit firing and muscle contractile properties in humans
出典:Hirono et al., J Neurophysiol 131(3): 472-479, 2024. doi: 10.1152/jn.00368.2023B4
- 目的:筋力発揮時の運動単位の発火と筋収縮特性に対する時間帯の影響を検討した.
- 方法:対象は15人の健常若年男性とした.24時間以内に4回(朝10時・昼13時半・夕方17時・夜20時半)の最大随意筋力,筋収縮時の高密度表面筋電図,電気刺激による発揮トルク,および皮膚温やグルコース量などを計測した.
- 結果:筋収縮時の運動単位のFiring rateのみ時間による有意差が見られ,朝10時と比較して,昼13時半・夕方17時・夜20時半におけるFiring rateが有意に高い値を示した.
- 結論:運動単位のFiring rateは24時間以内に変動しており,概日リズムによる影響を受けている可能性が示唆された.