4/6勉強会
【研究報告2件】
担当:徳永 亮太先生
タイトル:慢性腰背部筋炎症による広汎性痛覚過敏の中枢メカニズム
- 背景・目的:慢性疼痛症において,多くの病態で広汎性痛覚過敏を生じるが,そのメカニズムについては明らかとなっていない.慢性疼痛モデルの上行路において,腕傍核-扁桃体路の可塑的変化が示されているが,未だどのように痛覚調節に影響を及ぼしているのかは解明されていない.
- 方法:Complete Freund’s Adjuvantを傍脊柱筋に微小局所注入し,ラット慢性腰背部筋炎症モデルを作成した.細胞外電位記録法,パッチクランプ法を用い神経活動測定を行い,光・化学遺伝学的手法を用いて行動解析を行った.
- 結果:モデルラットにおいて扁桃体中心核の神経応答に変化が見られた.また扁桃体から下行疼痛調節系の一部である中脳水道周囲灰白質への出力が疼痛行動を変化させることが明らかとなった.
- 考察:腰背部筋の慢性炎症により扁桃体中心核の神経可塑的変化が起こり,その出力線維の活動変化により,全身性の痛覚過敏が引き起こされている可能性が考えられる.
担当:山本 陸央さん
タイトル:複合持続ストレスモデルの脊髄後角で発現増大する炎症性サイトカイン
- 背景・目的:肉体的・精神的なストレスが長期間持続することで生じるストレス誘発性疼痛(SiP)の神経基盤の全容は明らかにされていない.これまでにSiPの実験モデルとして有用と考えられる複合持続ストレス(MCS)モデルを用いて脊髄後角ニューロンの感受性が亢進していることを明らかにしてきた.本研究では同モデルを用いて脊髄後角の炎症性サイトカインの遺伝子発現レベルを調べた.
- 方法:ラットの飼育ケージに室温の水を1.5 cm張り,連続6日間飼育することでMCSモデルを作成した.対照群は通常飼育したラットを用いた.ストレス終了当日にラットの脊髄腰膨大部の後角部分を採取し,RNA精製後,主要な炎症性サイトカインであるTNF-α,IL-1β,IL-6のmRNAの発現レベルをqPCRで測定した.
- 結果:MCSモデルの脊髄後角では対照群と比較して有意にIL-6のmRNAの発現量が増大していた.TNF-α,IL-1βにおいては対照群との発現レベルの変化に違いはなかった.
- 考察: IL-6を中心とした神経炎症がSiPにおける脊髄後角ニューロンの感受性増大に寄与する可能性が示唆された.