4/20勉強会
【研究報告2件】
担当:田宮 創先生
タイトル:血流制限を伴う間欠的な低強度サイクリング運動が健康な成人における骨格筋の微小血管反応性に及ぼす急性効果
- 背景・目的:血流制限(BFR)を組み合わせた間欠的低強度サイクリングは,代謝ストレスを増強し,運動耐容能を向上させると報告されている.しかし,BFRが骨格筋の微小血管反応性に及ぼす急性期の影響については依然として不明な点が多い.本研究は,健康な成人を対象に,BFRを併用した間欠的低強度サイクリングが骨格筋の微小血管反応性および血中乳酸値に及ぼす即時的影響を調査することを目的とした.
- 方法:13名の健常成人を対象に,3つの条件からなる無作為化クロスオーバー試験を実施した.条件は以下の通りである:BFR条件(動脈閉塞圧[AOP]の60%でBFRを適用し,2分間の閉塞と1分間の再灌流を5サイクル繰り返す);運動のみ(Ex;BFRを適用せず,最大酸素摂取量[VO₂]の40%で2分間のサイクリングを5セット行い,その間に1分間の受動的回復を挟む); 併用条件(BFR+Ex;同様の間欠的プロトコルを用い,60% AOP下でピークVO₂の40%の強度でサイクリングを行う).微小血管反応性は,決中遮断試験中に近赤外分光法を用いて評価し,再灌流率は組織酸素飽和度(StO₂)の上昇勾配として定量化した.
- 結果:StO₂の上昇勾配は,Ex群(前:1.62 ± 0.68; 運動後:2.70 ± 0.93 %·s⁻¹)およびBFR+Ex群(運動前:1.43 ± 0.77;運動後:2.65 ± 0.80 %·s⁻¹)において有意に増加し,いずれもBFR群(1.54 ± 0.83 %·s⁻¹)を上回った.Ex群とBFR+Ex群の間には有意な差は認められなかった.血中乳酸濃度は,Ex単独群(3.4 ± 1.6 mmol/L)よりもBFR+Ex群(4.2 ± 1.6 mmol/L)で高かった.
- 結論:BFRを併用した低強度の間欠的サイクリングは乳酸を増加させるが,健康な成人において,運動単独を超える急性期の微小血管への有益な効果は得られない可能性がある.
担当:須崎 友馬さん
タイトル:受動的体温上昇が眼球運動認知機能に及ぼす影響
- 背景:暑熱下では,体温上昇に伴い視覚機能や視覚運動統合などの認知機能が低下し,反応の遅延や誤った判断を引き起こす可能性がある.これまで,高体温時には実行機能および視覚に関する脳部位で神経活動および脳血流が低下することが報告されている.しかし,これらの機能の統合的な出力である眼球運動が,体温上昇によりどのように変化するかは明らかでない.
- 目的:受動的体温上昇が眼球運動認知機能に及ぼす影響を明らかにする.
- 方法:健康な成人男性13名を対象とし,41.5°Cの温水 (Hot条件),または水温34.5°Cの中立温水 (Neutral条件) に浸漬させた.浸漬前安静時および浸漬中15分毎に認知課題を実施し,各時点で温度感覚および熱的快適性を回答させ,実験を通して呼気ガスを測定した.認知課題には,サッケード課題,アンチサッケード課題,視覚追従課題を用いた.
- 結果:Hot条件では,Neutral条件と比較して食道温,温度感覚および熱的快適性が高値を示した (all p < 0.05).Hot条件では,サッケード課題において反応時間が低値,最大眼球速度が高値を示した.また,アンチサッケード課題における正答率はHot条件で低値を示し,視覚追従課題中のサッケード回数はHot条件で高値を示した (all p < 0.05).Hot条件では,浸漬中に換気量が増加し,呼気終末二酸化炭素分圧が低下した (all p < 0.05).
- 結論:受動的体温上昇は,温度感覚の悪化,過換気による脳血流の低下を招き,眼球運動を向上させるが,認知機能を低下させる可能性が明らかになった.