5/25勉強会

【研究報告2件】

担当:五十嵐 眸実 先生

タイトル:痛みの恐怖記憶の形成と固定化に関与する神経律動活動

  • 背景・目的:痛みの恐怖記憶の形成や固定化が慢性疼痛発症の背景にある.しかしながら,恐怖記憶の形成や固定化に関する神経律動については,検討が不十分である.さらに,同じ課題に対しても,恐怖記憶が形成,固定化される対象者とそうでない対象者が存在する.そこで,本研究では,恐怖記憶の形成,固定化に関わる律動活動をMEGを用いて調査した.
  • 方法:34名の健常成人を対象に,2日間に渡って実験を実施した.1日目は恐怖記憶形成のための恐怖条件付けを行った.MEGを用いて恐怖条件付け前後の安静時脳活動計測した.2日目には恐怖記憶の固定化を評価した.恐怖条件付けの際に恐怖反応の指標として皮膚電気抵抗(SCR)を計測した.SCRを基に恐怖記憶が形成された被験者とそうでない被験者,固定化が生じた被験者とそうでない被験者に群分けを行い,各群で恐怖条件付け前後の安静時脳活動を比較した.
  • 結果:恐怖記憶が形成された被験者群では.側頭回のδpowerの増大,αpowerの低下,下前頭回のαpowerの低下がみとめられた.固定化が生じた被験者群では側頭回および視覚野領域のδpowerの増大,広範な皮質領域でのαpowerの低下がみとめられた.
  • 結語:恐怖記憶の形成および固定化には,恐怖条件付けによる皮質律動活動の特異的な変化が関与することが示唆された.

担当:時田 優菜さん

タイトル:経頭蓋ランダムノイズ刺激の刺激強度の違いが触覚方位弁別能力と体性感覚誘発電位に与える影響の検証

  • 背景:一次体性感覚野は触覚機能において重要な役割を果たしている.近年,触覚機能に関連する脳領域の興奮性を増大させることで感覚機能が良くなる可能性が示唆されている.皮質の興奮性を変化させる方法の一つとして経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS)があり,微弱なノイズ電流を頭皮上から与え,大脳皮質の興奮性を増加させることが知られている.しかし,近年,異なる刺激強度により視覚課題におけるパフォーマンスや運動機能に関連する皮質領域の興奮性が変化することが報告されているが,触覚機能においてどのような影響を与えるのかは不明である.
  • 方法:対象は健常成人11名,今後は30名測定する予定である.介入は4条件の経頭蓋ランダムノイズ刺激(0.4mA,1.5mA,2.25mA,sham刺激)を適用した.評価方法として触覚機能は触覚方位弁別課題(GOT)を行った.GOTは右示指に,8種類の異なる幅の溝が刻まれた半球型のブロックを機械的に押し当て,溝の方位(縦or横)を識別させた後,回答ボタンを押して回答する.また,脳活動計測として体性感覚誘発電位を計測した.SEPの振幅の変化から一次体性感覚野の興奮性変化を評価した.
  • 結果:4条件すべてにおいて触覚方位弁別能力は低下傾向にある.また,振幅値は全条件において増加傾向である.
  • 結論:異なる刺激強度のtRNSは触覚機能を向上させ,興奮性を増大させる可能性がある.