6/29勉強会

【研究報告2件】

担当:岡本 優美先生

タイトル:習慣的な運動がアセチルコリンおよびCGRP誘発性の皮膚血管拡張に及ぼす影響と一酸化窒素合成酵素の役割

  • 背景・目的:習慣的な運動によって体温調節を担う皮膚血管拡張反応が高まることが報告されているが,そのメカニズムに関する報告は限られており,不明な点が多く残されている.本研究では,習慣的な運動がアセチルコリン(Ach)および共伝達物質の一つであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)誘発性の皮膚血管拡張に及ぼす影響ならびにそれらにおける一酸化窒素合成酵素(NOS)の寄与を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:運動群15名(女性3名)および非運動群14名(女性5名)の大腿部にイオントフォレーシス法を用いてAch(0.5,1.0,8.0 mC)とCGRP(150 mC)を経皮投与した時の皮膚血管拡張反応を測定した.両反応は事前にL-NAME(NOS阻害薬)を処置した部位の反応と比較し,L-NAMEによる反応の低下程度(NOSの寄与程度を反映)を群間で比較した.別部位でニトロプルシドナトリウム(SNP)経皮投与による内皮非依存性反応を測定した.
  • 結果:Ach,CGRPおよびSNP誘発性の皮膚血管拡張反応に群間で差はなかった(P ≥ 0.294).NOSの寄与はAch誘発性反応において群間で同程度であったが(P = 0.465),CGRP誘発性反応では非運動群よりも運動群で高かった(P = 0.010).
  • 結論:本研究の条件下では運動習慣による皮膚血管拡張反応の向上は認められなかったが,CGRP誘発性反応においてはNOSの寄与が運動トレーニングで高まる可能性がある.

担当:吉野 琢朗さん

タイトル:低酸素曝露時の骨格筋微小血管反応性と低酸素感受性の関連

  • 背景・目的:微小血管反応性は骨格筋への酸素供給を調整し筋代謝に関与する.低酸素曝露は血管反応性を変化させることが知られているが,骨格筋微小血管への影響については十分に明らかになっていない.また曝露に伴う血中酸素飽和度(SpO₂)低下の個人差が微小血管反応性に及ぼす影響も不明である.そこで本研究は常酸素と低酸素(15%)条件における微小血管反応性を比較し,低酸素曝露前後のSpO₂低下量と微小血管反応性増加量の相関を検討した.
  • 方法:健常若年成人16名を対象に2条件の無作為クロスオーバー試験を行った.腓腹筋の組織酸素飽和度(StO₂)を近赤外線分光法で測定した.微小血管反応性は大腿部の加圧開放後2分間で得られるStO₂再灌流曲線を用いて,ベースライン値を底面としたStO₂曲線下面積(StO₂ AUC)で評価した.またSpO₂を測定し,StO₂ AUCとSpO₂を曝露前後で二元配置分散分析により比較した.低酸素曝露後の値から前の値を減じて変化量を算出しStO₂ AUC増加量とSpO₂低下量間のピアソン相関係数を求めた.
  • 結果:StO₂ AUCは条件と曝露前後の要因で交互作用を認めなかった(p=0.84).一方,低酸素条件における変化量の相関を求めたところSpO₂低下量とStO₂ AUC増加量には負の相関を認めた(r=-0.69,p=0.04).
  • 結論:StO₂ AUCは低酸素曝露による変化を認めなかった.低酸素条件におけるStO₂ AUC増加量はSpO₂低下量と負の相関を認めた.