7/13勉強会

【研究報告2件】

担当:小宮 諒先生

タイトル:前足部および中足部横アーチ幅の荷重による変化の違いと性別・利き足の影響

  • 背景・目的:足部横アーチは前足部と中足部に存在し,どちらも内側縦アーチの剛性に寄与する.前足部の横アーチ幅は横アーチ指標として用いられるが,足部を構成する各骨は荷重により多様な変動を示すことが知られている.したがって,前足部と中足部の横アーチは荷重による変化が異なる可能性があるが,その違いは不明である.本研究の目的は,座位と立位による各横アーチ幅の変化の違いと,性別および利き足の影響を明らかにすることである.
  • 方法:健常成人51名の健康な成人が参加した.健常成人51名の両足を対象とした.前足部横アーチ幅(骨頭間)と2種類の横アーチ幅(骨底間と楔状骨-立方骨間)の座位と立位での変化を測定した.変化量について,性別(男性,女性)と測定足(利き足,非利き足)の2要因の影響を,測定位置ごとに分割プロット分散分析を用いて検討した.各測定足での測定位置間の変化量の比較には,反復測定分散分析を用いた.事後検定にはボンフェローニ補正を用いた.
  • 結果:いずれのアーチ幅の変化も,交互作用と主効果を認めなかった.各位置間での変化量について,利き足では骨頭間と骨底間,骨頭間と楔状骨-立方骨間の間に,非利き足では骨頭間と楔状骨-立方骨間の間に有意な違いを認めた.
  • 結論:各横アーチ幅の変化には,性別や測定足の影響は認めず,楔状骨-立方骨間の変化量は骨頭間よりも小さいことが明らかとなった.

担当:久保 幸大さん

タイトル:足関節背屈可動域と他動背屈時における皮下組織-腓腹筋間相対変位量との関連

  • 背景・目的:足関節背屈可動域(dorsiflexion range of motion:DF-ROM)の制限は,さまざまな下肢傷害と関連する.DF-ROMには,伸張耐性,受動トルクおよび下腿後面軟部組織の硬さなどが関与するとされているが,これらの指標のみではDF-ROMの個人差や介入による改善を十分に説明できない場合がある.近年,関節運動に伴う軟部組織の変位が注目されている.足関節背屈時には皮下組織と腓腹筋が異なる変位を示し,両組織間に相対変位が生じる可能性があるが,DF-ROMとの関連は明らかでない.本研究は,足関節他動背屈時の皮下組織-腓腹筋間相対変位量を定量化し,DF-ROMとの関連を検討することを目的とした.
  • 方法:健常成人30名を対象とした.対象者を腹臥位,膝関節伸展位とし,多用途筋機能評価運動装置を用いて,足関節を0°から最大背屈位まで1°/sで他動的に背屈した.最大背屈位は,対象者がこれ以上の背屈に耐えられないと判断した角度とし,DF-ROMを記録した.同時に,腓腹筋内側頭遠位部の長軸超音波Bモード動画を取得した.皮下組織および腓腹筋に各3か所の関心領域を設定し,ブロックマッチング法により長軸方向の累積変位量を算出した.腓腹筋変位量から皮下組織変位量を減じた値を相対変位量とした.DF-ROMと,0°から最大背屈位までの相対変位量との関連をPearsonの積率相関係数により検討した.解析角度範囲の影響を検討するため,全対象者に共通する0°から10°背屈位までの相対変位量との関連も検討した.有意水準は5%とした.
  • 結果:DF-ROMは20.02±4.76°,0°から最大耐容背屈位までの相対変位量は6.93±1.54 mmであった.DF-ROMと最大背屈位までの相対変位量との間には有意な正の相関を認めた(r=0.643,p<0.001).一方,DF-ROMと0°から10°背屈位までの相対変位量との間には有意な相関を認めなかった(r=-0.094,p=0.621).
  • 考察・結論:DF-ROMは最大耐容背屈位までの相対変位量と関連したが,共通角度区間では関連しなかった.最大耐容背屈位までの相対変位量は解析区間全体の累積値であり,DF-ROMが大きい者ほど解析角度範囲も広くなる.したがって,両者の関連には,共通角度区間における組織間変位特性だけでなく,背屈運動範囲の大きさが影響した可能性がある.以上より,DF-ROMが大きい者ほど,最大背屈位までに生じる皮下組織-腓腹筋間の累積相対変位量が大きいことが示された.
  • 今後:下腿後面に対する徒手的圧迫と足関節自動運動が,共通角度区間における相対変位量に及ぼす影響を明らかにするため,徒手的圧迫,自動運動および両者の併用条件を比較するランダム化クロスオーバー試験を実施する.さらに,相対変位量の変化とDF-ROMの変化との関連を検討し,相対変位量の増加がDF-ROM改善に関与する可能性を検証する.また,副次的に受動トルク,伸張不快感および腓腹筋のせん断波伝播速度の変化についても検討する.