8/3勉強会
【研究報告2件】
担当:小島 将先生
タイトル:血液透析患者のサルコペニア肥満と1年後の身体機能低下および全死亡との関連
- 背景・目的:血液透析患者はBMIが肥満であるほど,死亡リスクが低下することが報告されており,これは肥満パラドックスとして知られている.近年,サルコペニア肥満は新たな公衆衛生上の問題として知られているが,血液透析患者におけるサルコペニア肥満の影響は不明な点が多い.本研究では,血液透析患者のサルコペニア肥満が1年後の身体機能低下に与える影響,および生命予後(全死亡)に与える影響を調査した.
- 方法:多施設前向きコホート研究に登録された患者データを利用した.サルコペニアは,EASO/ESPENのコンセンサスステートメントに基づき,骨格筋量低下,筋力低下,体脂肪率増加の3つが併存する状態として定義した.サルコペニア(骨格筋量低下+筋力低下)と肥満(体脂肪率増加)の組み合わせから,正常,サルコペニアのみ,肥満のみ,サルコペニア肥満の4群に群分けを行った.身体機能低下は,ベースライン評価から1年後のShort Physical Performance Battery(SPPB)の変化量が1点以上低下で定義した.また,生命予後はベースライン評価から最大3年間の全死亡を調査した.サルコペニア肥満と1年後の身体機能低下との関連はロジスティック回帰分析,全死亡との関連はCOX比例ハザード解析を用いて解析した.
- 結果:サルコペニア肥満と身体機能低下の解析では295名が解析対象となった.1年間でSPPBが1点以上低下した割合は,サルコペニア肥満群で48%と他の群よりも有意に割合が高かった(正常群20%,肥満のみ群22%,サルコペニアのみ群35%,P < 0.001).多変量解析の結果,サルコペニア肥満は身体機能低下と有意に関連する因子だった(OR 3.11,95%CI 1.37–7.06,P = 0.007).サルコペニア肥満と生命予後の解析では394名が解析対象となった.追跡期間中央値1095日のうち,72名が死亡した.サルコペニアのみ群は,サルコペニア肥満群と比較して有意に死亡リスクが増加した(HR 4.21, 95%CI 1.27–13.96,P < 0.01).
- 結論:血液透析患者のサルコペニア肥満は,縦断的な身体機能低下の要因となるが,生命予後に対してはサルコペニアのみよりも死亡リスクが低くなることが明らかとなった.
担当:平林 怜先生
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