8/24勉強会
【研究報告2件】
担当:長坂 和明先生
タイトル:脳卒中後疼痛における皮質神経活動の刺激強度依存性の破綻
- 背景・目的:体性感覚の中継核である視床に脳卒中による損傷が生じると,脳卒中後疼痛と呼ばれる慢性疼痛が出現することがある.これまでの研究から,視床損傷後に一次体性感覚野(S1)において異常な活動が確認されていたが,その詳細は不明だった.本研究はS1の刺激強度依存的な活動に注目し,それが病態モデルでどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした.
- 方法:ラットの視床後外側腹側核にコラゲナーゼを投与し,出血損傷を作製した.フォンフレイフィラメントテストを用いてモデル動物の疼痛程度を客観的に計測した.膜電位感受性色素を用いた光計測によってS1の神経活動をイメージングした.また,活動の細胞メカニズムを調べるために,S1の神経細胞の構造トレースを行った.
- 結果:出血損傷後3週以降に疼痛行動が出現した.イメージングの結果は,コントロール群と比較して視床損傷後4週において,低強度の刺激に対するS1活動の活性化上昇を示した.また,S1の錐体細胞の樹状突起長および分岐数がそれぞれ増加していた.
- 結論:視床後外側腹側核の損傷後,解剖学的に接続があるS1において不適切な可塑性が生じていることが示唆された.
担当:関根 悠介さん
タイトル:tDCSによる一次体性感覚野内の電流方向の個人差が触覚機能に及ぼす影響
- 背景・目的:経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は,微弱な電流によって大脳皮質の活動を調節し,触覚機能を変化させる手法として注目されている.しかし,その効果には大きな個人差があり,同じ刺激条件でも効果が得られない場合がある.この要因の一つとして,脳の形態的な個人差により,一次体性感覚野(S1)内を流れる電流の強さや方向が異なることが考えられる.特に,皮質ニューロンの配列方向に対する電流方向は,神経活動への作用を左右する可能性がある.そこで本研究では,電極配置によってS1内の電流方向を変化させ,触覚機能に及ぼす影響を検討するとともに,個人ごとの電場方向と刺激効果との関係を明らかにすることを目的とする.
- 方法:健常成人を対象に,電流方向の異なるAP-tDCS,PA-tDCS,Sham刺激を,ランダム化クロスオーバーで実施する.各条件の刺激前後に触覚方位弁別課題を測定する.また,個人のMRI画像から頭部モデルを作成し,SimNIBSを用いて一次体性感覚野内の電場強度と方向を算出する.さらに,個人ごとの一次体性感覚野の手領域を特定するために体性感覚誘発電位を計測する.これらの指標と触覚機能および電場方向との関係を解析する.
- 結果・結論:研究計画のため結果と結論については報告なし.