10/5勉強会

【研究報告2件】

担当:佐々木 亮樹さん

タイトル:α帯域の脳波律動周波数に合わせた反復体性感覚刺激は,触覚空間識別能力を向上させる

  • 背景・目的:反復体性感覚刺激(RSS)は体性感覚機能を改善するが,個人の神経律動に合わせた刺激の有効性は不明である.本研究では,個人のα帯域(8–12 Hz)またはβ帯域(15–30 Hz)のピーク周波数に合わせたRSSが触覚空間弁別能に及ぼす影響を検証した.
  • 方法:健常若年成人27名(23.1 ± 4.2歳)を対象に,無作為化単盲検クロスオーバー試験を実施した.α-RSS,β-RSS,コントロールの3条件を各20分間実施し,RSSは感覚閾値の3倍の強度で示指に与えた.介入前後に二点識別課題(刺激間距離0–5 mm),62チャネルの安静時脳波および単発・二連発刺激による体性感覚誘発電位(SEP)を測定した.課題正答率は,条件,時点,刺激間距離を含む二項分布の一般化線形混合モデルで解析した.
  • 結果:条件×時点×刺激間距離の交互作用が有意であった(P = 0.03).α-RSSでは刺激間距離2.0–3.0 mmの正答率が改善したが(all P < 0.05),β-RSSおよびコントロールでは有意な変化を認めなかった.安静時α・βパワー,SEPのP50振幅,P50の二連発抑制,α・β帯域の事象関連脱同期には,条件×時点の有意な交互作用を認めなかった.
  • 結論:個人のαピーク周波数に合わせたRSSは,脳波およびSEP指標の変化を伴わずに触覚空間弁別能を改善した.

担当:巻渕 泰輝さん

タイトル:随意運動に伴う聴覚情報処理の調節に対する刺激側と運動側の一致性の影響

  • 背景・目的:随意運動に伴う遠心性信号は,感覚情報処理を調節することが知られている.先行研究では,随意運動による感覚情報処理の調節作用が感覚モダリティによって異なる可能性が示されている.しかし,この違いには刺激側と運動側の空間的一致性が関与している可能性があり,聴覚情報処理における一致性の影響は十分に明らかでない.本研究では,聴覚刺激側と運動側の一致性が,随意運動に伴う聴覚情報処理の調節に及ぼす影響を検討した.
  • 方法:健常成人32名を対象に,運動,注意,無視の3条件を設定した.聴覚刺激は右耳または左耳に提示し,右手運動との一致・不一致による聴覚誘発電位(AEP)の変化を検討した.脳波はFz,Cz,Pz,C3,C4の5電極から記録した.AEP N1振幅について,条件と一致性を要因とする2要因反復測定分散分析を行い,事後比較にはBonferroni法による多重比較補正を適用した.
  • 結果:AEP N1振幅において,条件と一致性の有意な交互作用が認められた.運動条件では,注意条件および無視条件と比較してN1振幅が増大した(p < .001).さらに,運動条件において,一致条件では不一致条件よりもN1振幅が有意に大きかった(p = .004).
  • 結論:随意運動は,刺激側と運動側の一致性にかかわらず聴覚誘発電位を増強し,その増強の程度は一致条件でより大きい可能性が示された.これらの結果は,随意運動に伴う聴覚情報処理の調節が,刺激側と運動側の空間的一致性によって異なることを示唆する.