3/12 勉強会

研究報告

担当:菅原

研究テーマ:他動運動が第一次運動野の興奮性に及ぼす影響

  • 目的;経頭蓋磁気刺激装置を用い,示指の他動運動が一次運動野の興奮性に及ぼす影響を明らかにすること
  • 方法;他動運動と経頭蓋磁気刺激を組み合わせ,右第一背側骨間筋より運動誘発電位(MEP)を計測した.他動運動刺激と磁気刺激の刺激間隔(ISI)は,先行研究と我々が過去に行った脳磁図実験データを参考にし,示指先端が動いた後35ms,90ms,180msとした.
  • 結果;他動運動時のMEP振幅は,ISIが35ms,90msではコントロール刺激と比べ有意な変化は見られなかった.一方,ISIが180msではコントロール時に比べて有意に小さくなった.
  • 考察;他動運動刺激の場合は,運動開始後20ms付近での短潜時求心性抑制は認められず180ms付近でのみ長潜時求心性抑制が認められることが明らかになった.

文献抄読

担当:椿

論文:Ogoh S et al, The effect of phenylephrine on arterial and venous cerebral blood flow in healthy subjects. Clin Physiol Funct Imaging. 2011 Nov;31(6):445-51.

フェニレフリンが脳動静脈の血流に及ぼす影響

要旨

  • 背景:脳血管には交感神経線維が多く分布しており,交感神経の刺激により脳血管の緊張や血流の変化が生じる.交感神経様作用薬であるフェニレフリンはα受容体に作用し,血圧を上昇させる.脳の動静脈への影響については,前頭葉ScO2の低下やMCA血流速度の増加が報告されている.
  • 目的:フェニレフリン(PE)注入による,脳動静脈の血流および前頭葉酸素化の変化を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:健常成人8名を対象に,PE注入時の内頸動脈(ICA)血流,内頸静脈(IJV)血流,中大脳動脈血流速度(MCA Vmean),前頭葉酸素化(ScO2)の変化を,生理食塩水注入時の変化と比較した.
  • 結果:PE注入により,ScO2は低下し,MCA Vmeanは増加した.ICA血流量は変化しなかったが,IJVは血管径の増加と血流量の増加を認めた.
  • 考察:PE注入により酸素運搬は阻害されていないことから,ScO2の低下は動脈/静脈血液量のバランスが変化したことで生じたと考えられる.