5/28 勉強会

研究報告

担当:佐藤

研究テーマ:浸水が短潜時・長潜時求心性抑制および短間隔皮質内抑制・促痛に及ぼす影響

要旨

  • 目的:浸水による求心性入力が短潜時・長潜時求心性抑制(SAI,LAI)および皮質内抑制・促痛(SICI,ICF)に及ぼす影響を検証する.
  • 方法:成人男性8名を対象に,浸水前・浸水中・浸水後の3条件で,MEPTEST,MEPSAI,MEPLAI,MEPSICI,MEPICFを測定した.また,それぞれの条件において,MEPTESTに対する割合を求め,SAI,LAI,SICI,ICFへの影響を検証した.
  • 結果:浸水環境において,SAIおよびLAIが減少し,MEPTEST,SICI,ICFには変化が見られなかった.
  • 考察:浸水による求心性入力が求心性入力を減少させる可能性が示唆された.

文献抄読

担当:岩波

論文:Peter G. Enticott et al,Motor corticospinal excitability during the observation of interactive hand gestures. Brain Resarch Bulletin 85 (2011) 89– 95

要旨

  • 背景:他者の行動を観察することは,一次運動野を含む皮質脊髄路の興奮性(CSE)の上昇を惹起する.この現象は,主として運動共鳴と“ミラーシステム”という文脈の中に存在すると解釈されている.
  • 目的:ミラーシステムは感情移入と関連し,それ故に相互に影響しあう行動の観察に対する選択的な反応が生じるのか否かを検討した.
  • 方法:手をつなぐ動作を観察する被験者の一次運動野に経頭蓋磁気刺激を行った.手をつなぐ動作には,1)他者との相互作用のある状況,2)感情的側面を強調し,かつ他者との相互作用のある状況を含むもの,あるいは含まないものを提示した.
  • 結果:他者と相互関係のある手の動きの観察は,他者と相互関係のない手の動きと比較して,CSEの上昇を惹起しなかった.しかし,感情的な要素を含む動作の観察によりCSEが上昇する可能性が示唆された.運動誘発電位を指標とするミラーシステムの賦活化と,被験者の主観的な評価による共感指数との間に関連は認められなかった.
  • 考察:ミラーシステムは,単に相互に関連のある行動の観察に対してより強く反応するのではなく,強い感情的要素を含有する行動を観察することを重要な要素としている可能性が示唆された.