10/22 勉強会

文献抄読

担当:岩波

文献:Izumi Tsukazaki et al, Effect of observation combined with motor imagery of a skilled hand-motor task on motor cortical excitability: Difference between novice and expert. Neuroscience Letters 518 (2012) 96– 100

要旨

  • 目的:熟練した手の運動課題の運動イメージと組み合わせた観察が運動皮質の興奮性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
  • 方法:3ボールカスケード(ジャグリング)の初心者と熟練者各10名を対象とし,ジャグリングの映像を観察しながらイメージを行う条件と映像を観察せずにイメージを行う条件で,皮質興奮性を経頭蓋磁気刺激を用いて評価した.
  • 結果:初心者群では,運動イメージと映像観察の組み合わせ条件で,有意に皮質興奮性が増加した.一方,熟練者群では,映像を観察せずにイメージする条件で,有意に皮質興奮性が増加した.
  • 考察:ジャグリングの動作観察は,初心者の運動イメージ能力を増強させたことを示唆した.一方,熟練者では運動イメージ時に課題の運動記憶を想起し利用していることが示唆された.

    研究報告

    担当:田巻

    研究テーマ:Denervationによる筋-骨の萎縮と誘発筋収縮張力による骨萎縮軽減効果

    要旨

    • 目的:若齢期ラットへのDenervationと筋への電気刺激を行い,一過性の下肢不活動時に,電気刺激による下肢骨格筋の収縮張力を及ぼすことで骨萎縮を防止・軽減できるかを検討した.
    • 方法:7週齢雄ラット(n=54)を対象に,左坐骨神経を凍結損傷し,その後下腿前面への経皮的電気刺激(30分/日,6日/週)を4, 8, 16mAの3つの強度で,1-3週間実施した.術後の電気刺激1週目及び3週目に脛骨を採取して,染色後に光学顕微鏡にて観察し,組織画像を骨組織形態計測に供した.
    • 結果:脛骨骨梁面積(%BA)の経時的変化は除神経後1週目から有意に減少し始め,3週目で最も低値を示した.除神経後3週目では%BAの減少を軽減することは,いずれの刺激強度でもなかった.しかしながら1週目においては,刺激強度16mA群(ES16)においては他の刺激強度群と比較して有意に%BAが高く,反対側と有意な差がなかった.
    • 考察:本実験条件での経皮的電気刺激による筋収縮張力では,除神経による不活動時の脛骨骨梁面積低下を完全に防止する効果は希薄ではないかと考えられたが,刺激強度16mAで誘発された筋収縮張力では,除神経初期の急激な骨萎縮を緩やかにすることに有効ではないかと考えられた.