日常生活の基本となる「立つ・歩く」をサポートし、人々のQOLを向上させる - 医療を変える、理工学の学び

2019.12.02

日常生活の基本となる「立つ・歩く」をサポートし、人々のQOLを向上させる

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新.jpgリハビリテーションの現場では、職場・学校・家庭へいち早く復帰してもらうために、さまざまな医療が行われています。日常生活の基本となるのは「立つ・歩く」であり、このサポートのため下肢装具という医療器具を使用します。障害の回復にしたがって段々と小さく簡単な装具に変えていき、最小のものとしては靴の形をした「靴型装具」や、インソールの形をした「足底装具」などがあります。この小さな装具はヒトの「立つ・歩く」をサポートしたり、足の変形を直すのに大変役立ちます。私はこの小さな装具の大きな力に魅力を感じ、患者さんへの適用をベースとして、一般の靴やスポーツシューズ・インソールに応用できるのでないかと思い研究を始めました。

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既製品でも工夫することによってハイパフォーマンスが可能に

一部のトップアスリートは自分専用のシューズを作っているようですが、現在使用されている靴の99%以上は既製品だと思います。自分の足の形や使用目的にピッタリな靴を探すのは大変なことです。靴は既製品でも、靴の中に入れて使用するインソールを工夫することによって、自分の生み出す推進力をロスなく地面へ伝えることができ、競技スポーツにおけるパフォーマンス(記録)が向上します。このため個人の特性に応じたインソールの設計や、スポーツシューズ全般にわたる研究を行っています。また女性が使用するヒールパンプスは痛い靴の代表のように言われますが、インソールを工夫することによって楽に履くことができるため、婦人靴の研究も行っています。

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医療系総合大学だからこそできる専門的な学び

本学は全国でも数少ないスポーツに関する専門学科を有する医療系総合大学であり、強化指定クラブとの連携によるアスリートへのサポート活動も行っています。これまでの研究成果によって、怪我の防止、パフォーマンス(記録)の向上など、各選手のサポートができればと思っています。また靴やインソールに興味のある学生さんと一緒に卒業研究に取り組み、さらに大学院に進学する学生もいますので本格的な研究を推進したいと思います。靴とインソールの理論は、そのまま既製品の設計にも応用することができます。将来的には、日本をはじめ世界中のメーカーと共同研究を行い、新しいモノの開発を通じて広く社会に貢献したいと思います。

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MDSC_3839 (2)_1125094928.png新潟医療福祉大学 リハビリテーション学部 義肢装具自立支援学科
教授 阿部 薫
靴医学と人間工学的視点からの履物と歩行の研究を行っています。

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