宮口翔太講師の研究論文が国際誌「Behavioural Brain Research」に採択

2022年6月 1日 08:58 更新

神経生理・運動生理研究チーム

宮口翔太講師(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が、国際誌『Behavioural Brain Research』に採択されました!

研究内容の概要

脳卒中などの中枢神経疾患では、手指の巧緻性が低下することがあります。そのため手指の巧緻性を向上させるような脳刺激方法が広く検討されておりますが、両手のより複雑な巧緻性が求められるような課題(Purdue Pegboard Task)に対する効果は見つかっていませんでした。本研究では、経頭蓋交流電流刺激を小脳や補足運動野に施行(小脳条件、補足運動野条件、同時刺激条件、sham条件)することによって両手の巧緻性が高まることを明らかにしました。また小脳条件においては全被験者において効果が認められました。本研究成果は、国際誌『Behavioural Brain Research』に掲載予定です。

宮口先生からのコメント

両手の運動スキルに関与する脳領域として、補足運動野領域が一般的に知られておりますが、近年では小脳も両手の運動スキルに関与することが報告されております。本研究は、小脳領域への交流電流が両手の巧緻性を高めることを示した初めての報告となります。またこれまで報告されていた補足運動野への刺激よりも高い効果が認められました。今後は、今回明らかにした刺激方法によって両手の運動学習を高められるかどうかを検討したいと考えております。

本研究のポイント

① 小脳,補足運動野への交流電流刺激(1 mA,70 Hz)施行中にPurdue Pegboard Taskを用いて両手の巧緻性を評価しました.

② sham条件に比べて小脳条件,補足運動野条件,同時刺激条件において両手の巧緻性の有意な向上が認められました.また小脳条件においては全被験者の運動スキルが向上しました.

原著論文情報


Miyaguchi S, Inukai Y, Mitsumoto S, Otsuru N, Onishi H. Gamma-transcranial alternating current stimulation on the cerebellum and supplementary motor area improves bimanual motor skill. Behavioural Brain Research. Vol.424.113805.2022.