森下慎一郎先生の研究論文が「BMJ Open Sports and Exercise Medicine」に採択

2019年1月 7日 15:25 更新

神経生理・運動生理研究チーム

morisita.jpg森下慎一郎先生(理学療法学科、運動生理Lab、運動機能医科学研究所)の研究論文が『BMJ Open Sports and Exercise Medicine』に掲載されました!この研究は、通常は痛みの評価で用いるFace scaleが自覚的運動強度として使用できるかを調査した研究で、どの年代の人でも簡単に使用することが出来るFace scaleが運動の"しんどさ"を評価することが出来るか?と言うことを明らかにした研究です。

痛みの評価で用いるFace scaleが運動強度指標として使用できるか?

研究内容の概要:
健常成人では運動指導の際に運動強度の設定にはボルグスケールを使用し最適な負荷設定を行います。しかし、高齢者にとってボルグスケールは運動のきつさ度を文字で記述しているため理解が難しいのが現状です。

一方、痛みの評価として高齢者にはフェイススケールが使用されています(図1の上段)。フェイススケールを応用し、高齢者の運動指導の際の運動強度スケールとして使用できれば簡便な方法で適切な運動強度が設定でき、高齢者の運動指導に役立てることができると考えました(図1の下段)。
[図1]http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/181227-1.pdf (27.8KB)

本研究で健常大学生51名(男子30名、女子21名)を対象に自転車エルゴメーターにて20 Watt/分のRamp運動負荷試験を実施しました。自覚的運動強度としてFace scaleを利用し1分毎に質問しました。さらに、心電図及び呼気ガス分析から心拍数、酸素摂取量(VO2)を記録しました。心肺運動負荷試験中のFace scaleと心拍数、VO2の関連性について評価しました。結果、Face scaleと運動負荷試験中の各指標は高い相関がみとめられました(図2)。
[図2]http://www.nuhw.ac.jp/topics/news/181227-2.pdf (38.4KB)

本研究結果は、Face scaleが自覚的運動強度としても使用できる可能性を示しており、高齢者や小児の運動療法に役立つことを期待しています。

研究のポイント
① 痛みのFace scaleを自覚的運動強度として使用した点(図1)
② 心肺運動負荷試験にてFace scaleが心拍数、酸素摂取量、ワット数と有意な相関がみられた点(図2)

原著論文情報
Morishita S, Tsubaki A, Nashimoto S, Fu JB, Onishi H. Face scale rating of perceived exertion during cardiopulmonary exercise test. BMJ Open Sport Exerc Med 2018;4:e000474. doi:10.1136/bmjsem-2018-000474

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