研究の向こうに未来が見える。

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言語聴覚学科

研究の向こうに未来が見える。

講師

内山 信(ウチヤマ マコト)

最終学歴 東北大学大学院
学位 博士(医学)
保有資格 言語聴覚士
趣味 サイクリング
愛読書 神経心理学入門(山鳥重)
座右の銘 大切なものは目に見えない

脳損傷による
認知機能障害の
メカニズムに
関する研究

研究をはじめたきっかけ

言語聴覚士になる以前に、脳損傷の患者さんとお会いする機会がありました。当時の私は知識がなく、その方に何が起きているのか、どの様に接すれば良いのか戸惑った記憶があります。そこで、脳損傷のある方とコミュニケーションを取りたい、少しでも力になりたいと考え、言語聴覚士になりました。しかし、脳損傷の患者さんの障害について知れば知るほど、解明されていないことが多いということが分かりました。そのため、患者さんを理解した上で支援を行うためには、まずは、患者さんに生じている障害のメカニズムを明らかにする必要があると考えたことが、研究を始めるきっかけです。

研究内容

脳が損傷を受けることで、「話すこと」「聴くこと」「読むこと」「書くこと」「記憶すること」「注意を向けること」「見た物を認識すること」などの認知機能に障害が生じます。例えば、話すことの障害について、言いたいことが思いつかないのか、思いついたことが言えないのか、言い間違えるのか、その症状は様々であり、それぞれ違うメカニズムで生じていると考えられます。患者さんの症状はそれぞれの認知機能のどのような過程の障害によって生じているのか、また、それが脳のどの場所(部位)の障害によって生じるのかを研究しています。

研究成果による貢献

私たちは、レビー小体型認知症という病気の患者さんは物を見間違えることが多いということを世界に先駆けて発見しました。そして、この見間違いを簡単に調べられるテストを開発しました。国際的に使用されているレビー小体型認知症の診断基準の中では、私たちの開発したテストを使用することが推奨されています。この研究についても、やはり一人ひとりの患者さんに何が起きているのかを探ることから始まりました。

本研究の今後の展望

言語聴覚士という名前からは想像しにくいかもしれませんが、私たちは認知機能、つまり脳のスペシャリストでもあります。認知機能障害は、患者さんの日常生活を困難にさせるだけでなく、その家族に対しても負担をもたらします。認知機能障害のメカニズムを探るということは、患者さんの理解につながる重要な視点となり、患者さんとのコミュニケーションやリハビリテーションの方法だけでなく、家族への支援方法に直結します。さらに、このような個々の患者さんに対する理解や支援の積み重ねが新たな発見や知の共有につながると考えています。

高校生へメッセージ

言語聴覚士は、認知機能障害に限らずコミュニケーションや食べることに障害を持つ患者さんと一対一で関わり、患者さんとそのご家族を支える仕事です。目の前の患者さんに何が起こっているのかを探り、どの様に何を援助していくのかを自分で考え、自ら実践していきます。責任を伴いますが、大変やりがいのある仕事です。