治らない疲れの正体は
体の中に何があるのだろうか?

鍼灸健康学科/准教授/金子 聡一郎
Department of Acupuncture and Moxibustion/Soichiro Kaneko

COVID-19後遺症の特徴の抽出と鍼灸治療の効果に関する研究

理解されにくいコロナ後遺症の患者との出会い

研究のきっかけは、偶然治療したコロナ後遺症の患者さんとの出会いでした。その方は、強い疲労感や不調が続いているにもかかわらず、病院でも十分に理解されず、「どこへ行っても良くならない」と深く悩んでいました。はっきりした治療法がなく、周囲にも分かってもらえない苦しさを前に、「この人の力になれる方法はないのだろうか」と強く考えるようになったことです。様々な症状に対応できる鍼灸治療なら、同じく多様な症状を示すコロナ後遺症の支えになれるのではないか。その思いから、鍼灸院に来る後遺症患者さんの実態を調べ、治療の可能性を明らかにする研究を始めました。

全国の鍼灸院をつなぐ後遺症支援のネットワーク

この研究では、鍼灸院には、どれくらいのコロナ後遺症患者さんが来院し、どのような症状で受診し、どの程度回復しているのかを調査します。そして、その結果を全国の鍼灸師と共有することで、治療の経験や工夫を広く役立ててもらうことを目指しています。一つの治療院で得られる情報は限られていますが、全国の鍼灸院が協力すれば、多くの症例を集め、より信頼できる知見を得ることができます。こうしたネットワークが広がれば、どこに住んでいても後遺症に悩む人が適切な支援を受けられる体制づくりにつながり、社会全体で回復を支える力になると期待されています。

小さな力を集めて大きな支えに変える研究

この研究の面白さは、一人では小さな力でも、多くの人と協力することで大きな支援に変えられる点にあります。鍼灸師一人ひとりの経験は限られていても、全国の仲間と情報を集め、分析することで、コロナ後遺症に対する新しい可能性が見えてきます。患者さんが少しずつ楽になっていく経過がデータとして積み重なり、「同じように苦しんでいる人の役に立てる」と実感できる瞬間は、大きなやりがいです。目の前の一人を支えたいという思いが、やがて多くの人を支える力へと広がっていく。そのつながりを実感できることが、この研究ならではの魅力です。

高校生へのメッセージ

鍼灸は、東洋医学を用いた治療法です。現代医学では対応が難しと思われるものでも東洋医学の知識を組み合わせることにより様々な症状に対応できるようになります。そんな東洋医学の研究を覗いてみませんか。

鍼灸健康学科/准教授/金子 聡一郎
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